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[ 科学技術・大学 ]
(2016/10/5 05:00)
スウェーデン王立科学アカデミーは4日、2016年のノーベル物理学賞を、「トポロジー」という数学の概念を使って物質の特殊な状態を理論的に予測した米ワシントン大学のデイビッド・サウレス名誉教授(82)と米プリンストン大学のダンカン・ホールデン教授(65)、米ブラウン大学のマイケル・コスタリッツ教授の3氏に贈ると発表した。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれる。賞金800万スウェーデンクローナ(約9500万円)はサウレス名誉教授に半分、残りの半分を2氏で等分する。
70年代、サウレス名誉教授とコスタリッツ教授は、超電導現象などが、薄膜では起きないという当時の常識を覆す理論を発表。超電導が低温で起こるメカニズムを説明した。80年代にサウレス名誉教授がこれを実験で確認し、同じころ、ホールデン教授が磁性材料に位相の概念が用いられることを発見した。材料科学やエレクトロニクス、量子コンピューターなどに応用できる。
トポロジー(位相幾何学)はモノ(図形)のつながり具合を表す数学の概念で、図形を少しずつ変形していっても変わらない性質のことを指す。例えば、ドーナツとマグカップは同じトポロジーに分類される。
内部は電流の流れない絶縁体だが、表面は金属のように電流を流す不思議な物質「トポロジカルな絶縁体」などが注目されている。
(2016/10/5 05:00)