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社説/あすは「津波防災の日」−企業も地域への支援方法を考えよう

(2016/11/4 05:00)

5日は「津波防災の日」。南海トラフ巨大地震をはじめ、津波被害が予想される災害にしっかり備えたい。

政府は津波防災の意識向上と適切な避難行動の定着のための訓練実施を呼びかけている。内閣府によると10月29日から11月6日の間に、国や自治体だけでなく民間の97社・団体が訓練を予定している。多くは避難と安否確認の訓練だ。

津波の発生を知ったら、まず高い場所へ逃げなければならない。津波による浸水が予想されている地域に立地する企業にとって、就業中の従業員や来客の命を守るため避難場所の確認と訓練は重要だ。

江戸時代末期の安政元年(1854年)は11月4日に安政東海地震、5日に安政南海地震が立て続けに起きた。安政南海地震による大津波に襲われた現在の和歌山県広川町(当時は広村)では、地元の名士の浜口梧陵が刈ったばかりの稲の束に火を付け、暗闇の中で逃げ遅れた村人を高台に避難させた『稲むらの火』の美談が伝わる。

このエピソードにちなみ、2011年6月に制定した「津波対策の推進に関する法律」には11月5日を「津波防災の日」とすることを盛り込んだ。これは海外にも知られ、国連では昨年12月、日本が主導する形で142カ国が共同提案して同日を「世界津波の日」に定めた。

民間企業が実施する津波防災訓練には、自治体と連携して事業所内の施設を開放し避難者を受け入れるものもある。企業が地域との関係を深めることは災害発生時に役立つだろう。

また大手コンビニエンスストアなどは、レジの表示装置を使って買い物客向けの「津波防災の日」「世界津波の日」啓発に協力する。コンビニはいまや社会インフラの一つとされ、災害発生時には被災地の物資供給で重要な役目を担う。今回は平時の普及啓発が目的だが、これを契機に災害時の情報発信拠点にもなることを期待したい。

他業界の企業も津波防災の日を契機として、自社の施設やサービスをどう活用できるか、考えてはどうだろうか。

(2016/11/4 05:00)

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