[ オピニオン ]

社説/17年春闘スタート−中小や非正規の待遇改善にも注目

(2017/1/19 05:00)

2017年の春季労使交渉(春闘)がスタートする。4年連続となるベースアップ(ベア)の可否とともに、中小企業の賃上げと非正規社員の待遇改善に注目したい。

連合は19日に第2回中央闘争委員会を開き、春闘の方針を確認する。ベアなど賃上げは「2%程度」、定期昇給(定昇)相当分を含めて4%水準を要求するとしている。ベア要求は4年連続。自動車や電機など主要製造業の産業別労働組合で組織する金属労協(JCM)は、昨年同水準の「月額3000円以上」のベア要求を決めた。

これに対し、組合員数300人未満の中小組合の賃上げ要求の目安は連合加盟平均の差額を上乗せした6000円。定昇に当たる賃金カーブ維持相当分4500円を含め、総額1万500円の獲得を目指す。

労働側は、経済の好循環の実現のためには雇用者の大半を占める中小企業労働者の底上げと、労働者の4割を占める非正規労働者の待遇改善が不可欠だと主張する。政府・日銀が大規模な金融緩和や財政出動を進めてきたのにもかかわらず、デフレ脱却は見えておらず、経済政策「アベノミクス」の恩恵が国民全体に行き渡っていない。

大企業で構成する経団連の集計では、16年春闘の定昇とベアを合わせた賃上げ妥結額は7497円。しかし中堅・中小労組を含む連合集計では平均5779円にとどまり、大企業と中小との格差は依然として大きい。

連合は「サプライチェーン全体での付加価値の適正配分が必要」と、これまで大企業が稼いだ利益を中小企業に回すべきだとしている。政府も中小企業労働者と非正規労働者の待遇改善を促す。ただ、そもそも労組結成比率が低い中小・地場産業ではベアどころか定昇という概念がないのが実情だ。

政府は「同一労働・同一賃金」や長時間労働の是正に向けた実行計画をまとめ、通常国会での法改正を目指している。経営側も、こうした「働き方改革」への対応とともに、経済を成長路線に乗せるための難しい判断が問われている。

(2017/1/19 05:00)

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