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社説/北朝鮮ミサイル−各国と協調して圧力を強めよ

(2017/5/17 05:00)

北朝鮮の度重なる挑発に対して、日本は各国と協調して制裁圧力を強める必要がある。新たな迎撃システムの導入も急ぐべきである。

北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射した。北朝鮮との対話を重視する韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の就任直後、中国の習近平国家主席が提唱する巨大経済圏構想の会議当日の出来事で、日米だけでなく中韓をも挑発した。

国連安全保障理事会は「最大限の懸念」を表明し、制裁を含む重大措置を取ると警告した。この声明には中国、ロシアを含む安保理の全理事国15カ国が同意した。安保理は日本時間17日午前、緊急会合を開き、北朝鮮への対応を協議する。

従来は追加制裁を視野に入れる米国に対し、中ロが反対する構図だった。ただ今回は、北朝鮮の度重なる挑発に、中ロも態度を変える可能性がある。

一方で今回のミサイルは高角度で打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射し、高度2000キロメートル超まで上昇した。通常の角度なら米グアムを射程に収めたといわれ、北朝鮮の技術力向上が指摘されている。

同時に、日本にとって新たな課題が浮上した。ロフテッド軌道で発射されると、大気圏外からの落下速度が速まり、迎撃が難しくなるからだ。

今の迎撃態勢は、イージス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイル「SM3」が高度数百キロメートルの大気圏外で迎撃し、地上数十キロメートルで地対空誘導弾ミサイル「PAC3」が迎撃する二段構えだ。

だが、SM3は高度500キロメートルまでしか対応できない。また大気圏再突入後の落下速度はマッハ10以上と想定され、マッハ7程度のPAC3では対応が難しいといわれる。このため、日米が開発中の高度1000キロメートルに対応する改良型SM3を早期に完成させ、陸上型転用システムの導入も検討すべきだ。

東アジアの安定は日本の産業界が安心して活動できる基盤である。北朝鮮が簡単に核・弾道ミサイル開発を放棄するとは思えないが、各国が結束して北朝鮮の暴走に歯止めをかけることを期待したい。

(2017/5/17 05:00)

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