[ 政治・経済 ]

アラブ5カ国のカタール断交、LNG調達に懸念 日系企業は様子見

(2017/6/7 05:00)

サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、バーレーン、イエメンが、カタールと断交した。外務省によると、カタールに進出した日系企業数は2015年10月時点で46社、16年4月時点の在留邦人数は914人。現時点で多くの日系企業が様子見だが、中東情勢の不安定化につながった場合は悪影響が出そうだ。

カタールは世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出国であるため、電力やガス各社のLNG調達への影響が懸念される。中部電力の16年度のLNGの調達量1253万トンのうち、カタールからの輸入が約4割を占める。現在、東京電力ホールディングスとの共同出資会社JERAが調達を担っている。「JERAを通じて、国営カタールガスから影響はないと聞いている。今後の動向を注視したい」(中部電力)。

ガス各社は「カタールと長期契約をしている企業は少なく、スポットでの調達のため影響は少ない」(日本ガス協会)可能性が高い。東京ガスはカタールと長期契約を結ぶ。ただ、16年のLNG全体の調達量1425万トンのうち、カタールからの輸入量は3%程度。仮に影響が出たとしても限定的とした。

商社では、三井物産がカタールガスに出資しているほか、製油所にも出資している。現在、状況を分析中で、事業への影響は不透明だ。丸紅はカタールLNGの権益を一部保有。製油所に出資しているが、事業への影響は精査中としている。

エンジニアリング業界では、千代田化工建設が天然ガスからヘリウムを取り出す設備の案件を手がけている。年内に完成予定で、断交の影響を確認中。

三菱重工業は三菱商事や日立製作所など5社連合で、カタール初の地下鉄「ドーハメトロ」向け都市交通システムを15年に受注している。カタールに現地事務所も構えるが、現在のところ業務に支障は出ていない。

カタール航空とのコードシェアでドーハ便を運航する日本航空(JAL)は、乗り継ぎも含めて、日本からの旅客にはほとんど影響がないとした。

一方、外務省は断交した5カ国とカタールの国境が閉鎖され、陸路・空路・海路による直接の出入国ができなくなる可能性があると指摘。最新の情報入手に努めるよう呼びかけている。

【サウジ・UAE、カタール船入港禁止/石油・ガス混乱の恐れ】

【ドバイ=ロイターES・時事】サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の各港では、両国がカタールと断交したことを受けてカタール船籍の船舶の入港が禁じられた。カタールからの石油・ガス輸出が混乱する恐れも高まっている。

サウジの港湾当局者は5日ツイッターで、カタールの国旗を掲揚している船舶や、カタールの企業・個人所有の船舶を受け入れないよう海運業者に通達したと述べた。

また、カタール製品のサウジ港湾での荷降ろしを許可しないと明言した。

(2017/6/7 05:00)

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