[ オピニオン ]

社説/支援戦闘機の後継機種選び 防衛装備の国産技術は残せるか

(2018/6/29 05:00)

航空自衛隊の支援戦闘機「F2」の後継機種をめぐる議論が、かまびすしい。F22をベースに機体や電子装備を改修する案や、F35を追加購入する観測もある。無人偵察機「グローバルホーク」や弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア」を日本国内に配備する計画もある。米トランプ政権が対日貿易赤字を問題視しており、米国製兵器購入が今後益々増えそうだ。一方で、国内防衛産業の行方は不透明だ。技術基盤を保ち、磨いていく工夫が欠かせない。

F2については、日本は約30年前の“苦い思い出”がある。当初、国産のCCV機をベースに双発機で開発する方針だったが、米国から横やりが入り、単発エンジンのF16をベースに改修する方式に落ち着いた。機体価格は当初予想より大幅に上がり、1機120億円近くになった。

F22やF35は、さらに高価。最終的に300億円近くになる可能性もある。高価になりすぎて必要機数がそろえられないうえ、ステルス性能や電子関係をめぐる技術が日本にどこまで公開されるのか、疑問だ。

主要部門が公開されなければ、国内企業が技術を学ぶ効果は期待できない。高価な兵器購入に予算を取られ、他の兵器購入予算や研究予算が削られる懸念がある。中国の軍事予算が膨張している現在、領海警備や離島防衛のために必要な予算は確保すべきだ。

無人偵察機や水陸両用車、静音型潜水艦に加え、磁気レールガンや高出力レーザー兵器の研究も候補。レーザー兵器やレールガンが実用化すれば、ミサイルより購入予算を抑えられる。

人工知能(AI)やロボット活用、サイバー攻撃からの防衛も重要なテーマ。これらは民間の中小ベンチャーが多く育っており、うまく使えば防衛産業の受け皿になる可能性もある。

当たり前のことだが、日本の防衛力は日本のために整備するのが基本。米国の対日貿易赤字を減らすためではない。共同開発の中で日本の立場をきちっと主張するためにも、国産技術の確立は重要だ。

(2018/6/29 05:00)

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