[ オピニオン ]

産業春秋/東京五輪と日本建築

(2018/12/4 05:00)

2020年東京五輪・パラリンピックで体操競技やボッチャの会場となる有明体操競技場(東京都江東区)で、木構造梁(はり)の大屋根を油圧ジャッキで持ち上げるリフトアップを見た。

「動きまーす」。現場に近づくと、作業者の声が響く。2回目のリフトアップは大屋根の中央部(幅69・6メートル×奥行き14・4メートル)を引き上げた。19年5月まであと3回行い、幅約88メートル×奥行き約120メートルの大屋根ができる。

巨大な木構造梁は木材をアーチ状につなぎ合わせる。木の強度は鋼材の10分の1に満たないが、比強度は鋼材を一部上回るため、圧縮に強い木の特性を生かせるアーチ形状を採用した。日建設計の高橋秀通設計部門設計部長は「重量は鉄で作った場合の半分。下部構造が軽くシンプルにできる」と利点を説く。

構造は日本で発明された束を使い弦を張る「張弦梁」と、キャンチトラスの複合系架構システムを採用。自重や地震、風、積雪、吊り荷重に対し安全性を確保した。

観客席、外装を含めすべて国産木材を使い、木材利用量は2300立方メートルと東京五輪関連施設で最大だ。安全第一で残る工事にまい進し、張弦梁という日本の建築と木の文化を世界に発信できる競技場を作り上げてほしい。

(2018/12/4 05:00)

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