[ オピニオン ]

社説/北九州の就職応援プロジェクト 魅力をPRして定住につなげよ

(2019/6/3 05:00)

地方都市の多くが少子高齢化に直面している。中でも少子化の進展は雇用減に直結する。加えて製造業離れが進むことで、地方のモノづくり企業は存亡の危機にある。こうした中で北九州市は、九州・山口一円の学校を職員が訪問して都市の魅力をPRする活動を2018年度から始めている。2年目の今年は取り組みをさらに拡大する。

少子高齢化で全国的に生産年齢人口(15―64歳)が減少している。15年からの10年間だけ見ても約560万人が減ると予想され、北九州市も5万人の減少を予想している。労働力不足は都市の活力を疲弊させるため「雇用対策は喫緊の課題」(北橋健治市長)に位置付けている。

同市は近年「U・Iターン応援プロジェクト」や「ゆめみらいワーク」など、相次いで働き手を増やす施策を進めている。その切り札と呼べるのが「学生就職応援プロジェクト」。産業経済局内にチームを設置し、職員が九州・山口の工業高校、高等専門学校、大学を訪問して市内企業や都市の魅力をPRする取り組みだ。

18年度末時点で延べ約500人の職員が104校(大学は42校)を訪問した。北橋市長もトップセールスとして大学で講演会を行うなど奔走し、市内企業の見学やインターンシップ(就業体験)実施の足がかりとした。19年度も引き続き活動を継続し、卒業生の就職実績を各校にヒアリングした上で近く成果を公表する。

自治体のU・Iターンやインターンシップの取り組みは、いまや珍しくはない。だが地域や内容に温度差があるのは事実。北九州市は九州最大の産業都市でありながら、超高齢化社会をいち早く迎えた政令市として特に危機意識が強い。「課題先進地」として自治体と企業が連携して課題に向き合う熱意は、他都市とは比べものにならない。

若者の流出を食い止める特効薬はない。魅力ある産業育成や都市インフラの充実には数十年かかる。それでも地道な活動は根付き、やがて芽吹いていく。就職応援プロジェクトも地道に応援したい。

(2019/6/3 05:00)

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