[ オピニオン ]
(2019/6/12 05:00)
10月の消費税引き上げに伴い、食品や飲料などに軽減税率制度が導入される。軽減税率の導入は、システム改修や新たな設備の導入など中小事業者に負担がかかる。軽減税率に対応するために、中小の飲食店などが、新たにPOS(販売時点情報管理)レジを導入する場合もあるからだ。政府は、軽減税率についてホームページでの告知や業界団体などを通じた理解促進を呼びかけており、中小事業者にもより一層分かりやすい周知や説明が求められる。
政府は中小事業者などの負担軽減策として、「軽減税率対策補助金」を設けている。一例として「複数対応レジの導入等支援」がある。軽減税率対象となる食品や飲料などを日頃から販売し、対応レジまたは区分記載請求書などを発行する券売機を導入、あるいは改修する必要のある事業者を対象としている。
一方で、軽減税率導入はPOSシステムの活用などによる業務効率化や、キャッシュレス化への対応といった効果も見込める。レジ・発券機メーカーやキャッシュレス決済業者、POSレジベンダーにとっては、またとない商機といえる。
政府は中小企業団体首脳らに対し、同制度の開始に向け告知・普及を呼びかける。日本商工会議所なども軽減税率制度・価格転嫁への対応や、キャッシュレス決済の推進に一層取り組む構えを見せている。
これに対し外食産業や小売業界からは、増税時の軽減税率に要望も出ている。「複雑すぎて消費者だけでなく、業界の人も分かっていないのではないか。政府はホームページだけでなく、もっと積極的に告知、説明してほしい」といった声だ。
軽減税率対策補助金の対象は、一定の要件を満たす中小事業者などと細かく規定されている。このほか、特定非営利活動法人(NPO)、社会福祉法人、消費生活協同組合、商工会・都道府県商工会連合会、商工会議所、商店街振興組合なども対象。さらにA型、B型、C型と細かく要件が定義されており、理解するのに難しい部分もある。
(2019/6/12 05:00)