[ オピニオン ]
(2019/7/8 05:00)
海洋プラスチックゴミが大きな社会問題となっている。そんな中で、大手飲料メーカーがペットボトル容器のリサイクルの強化を打ち出している。ペットボトルは軽量で高耐久性の上にリサイクルしやすい素材。回収されたペットボトルは主に繊維、容器として再資源化される。ペットボトルに再加工する「ボトルtoボトル」にすれば、恒久的に循環できるが、大手もこの比率は20%に満たない。課題を乗り越え、完全なリサイクルの実現を目指してほしい。
PETボトルリサイクル推進協議会によれば、2017年度のペットボトル販売数量のうちの回収率は92・2%と高水準。さらに国内と海外を含めた再資源化率は84・8%。これは欧州の41・8%、米国の20・9%と比べて高いレベルにあり、リサイクル優等生と言える。
ペットボトルのリサイクルでは、洋服などの繊維やシート製品、トレーといった成形品に多くは加工されている。ここにきて注目されるのが飲料用ボトルに再加工するボトルtoボトルだ。これが確立できれば、回収容器を原料に新たな容器に繰り返し循環させられるからだ。他製品にリサイクルするとその後は廃棄される可能性が高い。
ボトルtoボトルは大手で採用は始まっている。販売容器に占める割合は、取り組みが進む日本コカ・コーラとサントリー食品インターナショナルで18%ほどと低い。それぞれこの比率を50%に高める計画だが、25―30年の目標で時間がかかる。
課題はリサイクルボトルの供給力が足りていないこと。飲料用容器として使うため、回収ボトルの洗浄から、化学的再生法や物理的再生法で加工原料への加工、成形工程と多くの手間とコストをかけ再資源化する。
リサイクル容器が消費者に直接のメリットになりにくいため、商業ベースに乗せられる事業者は限られる。これがボトルtoボトルの普及を阻む“ボトルネック”になっている。
これらの課題を業界が行政、社会と一体となって共有し、完全リサイクルの仕組みを構築してもらいたい。
(2019/7/8 05:00)