産業春秋／藤井二冠、初の防衛

将棋の藤井聡太二冠（王位・棋聖）がタイトル戦で初の防衛戦に臨む。６月６日開幕の棋聖戦は、タイトルを昨年奪われた渡辺明名人（棋王・王将との三冠）がリベンジを期す。王位戦も豊島将之竜王（叡王と二冠）が挑戦者に決まり、６月２９日に始まる。

将棋の８大タイトル戦は、季語のように開催時期がある程度決まっている。現在進行中の名人戦は桜咲く４月初旬、序列最上位の竜王戦は１０月初旬の開幕が通例だ。

夏が番勝負真っただ中の棋聖戦と王位戦。棋聖戦は２０１８年、不動産会社が特別協賛となりヒューリック杯棋聖戦が正式名称に。王位戦は来期まで２期の契約で伊藤園が特別協賛する。語呂合わせの縁もある主力商品「お〜いお茶」の冠名が付く。

悩ましい問題も。藤井二冠は３月から不二家とともに、緑茶飲料「伊右衛門」を扱うサントリー食品インターナショナルと広告契約を結んだ。社会現象になり将棋界を盛り上げた藤井二冠への評価があってこその契約締結。

競合品のため王位戦では協賛企業の商品が提供される可能性が高い。ただこれは外野の老婆心。定番とする初手を指す前にお茶を一口飲んだ後は、勝負に集中するいつもの姿になるはずだ。