産業春秋／関西スーパー争奪戦

関西人は何でも略すのが好きだ。マクドナルドは「マクド」、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは「ユニバ」。関西スーパーマーケットは「関スー」と呼ばれることが多い。

関西で地域密着型食品スーパーとして愛される関スーが、全国的に注目を浴びている。阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー（Ｈ２Ｏ）リテイリングが、傘下のスーパー２社と関スーとの経営統合を発表すると、その３日後に今度は首都圏でスーパーを展開するオーケー（ＯＫ、横浜市西区）が、統合反対に名乗りを上げた。

ＯＫは６月に関スーに買収提案をしていたが、関スーから“袖にされた”ようだ。今後ＴＯＢ（株式公開買い付け）に発展する可能性もある。

コロナ禍の巣ごもり需要で、食品スーパーの業績は好調だ。百貨店業態から拡大を狙うＨ２Ｏと、関西進出の足がかりとしたいＯＫのどちらにとっても引き下がれない。

１０月開催の臨時株主総会でＨ２Ｏとの統合の賛否が問われる。決めるのはもちろん株主だ。食品スーパーは、地域の重要な生活インフラでもある。目先の株価とともに、お客さんにとってよりよい店となるのはどちらの提案か。そんな視点も忘れないでほしい。