(2021/11/2 05:00)
NTTグループの再編は、国内情報通信産業の国際競争力強化を念頭に進めていくべきだ。
NTTドコモは2022年1月に、長距離通信事業のNTTコミュニケーションズ(NTTコム)と、情報システム開発のNTTコムウェア(東京都港区)を子会社化する。統合で、25年度に金融・決済などの非通信と法人事業の売上高の比率を50%以上に引き上げる計画だ。
国内では現在、携帯通信料金の引き下げが進み、人口増加も見込みにくい。法人分野に強いNTTコムの力を活用し、収益力多様化につなげる戦略は妥当と言える。コロナ禍を契機にデジタル変革(DX)に取り組む企業は多く、通信会社はそうした顧客の支援が使命でもある。
また、ドコモは国際事業の強化が中長期的な課題だ。親会社のNTTは海外売上高比率が20%弱で推移し、グローバル化は道半ば。ドコモには海外通信事業者向け商材の展開や、次世代通信技術の実用化に関する研究開発の加速が望まれる。
国内情報通信産業全般の国際競争力低迷が指摘されている。総務省によると、携帯電話の基地局では日本企業の世界シェアは18年時点で2%に満たない。ドコモは無線ネットワークの海外展開に向け、富士通やNECなどと協業している。日本勢をけん引する意味でもNTTグループへの期待は大きい。
KDDIやソフトバンクは、今回のNTT再編に伴って国内通信市場の公正な競争環境が確保されるか懸念を表明している。これ自体は正論であり、NTTは電気通信事業法などに基づく各種規制を順守し続けねばならない。総務省にも順守状況の入念な検証が求められる。
ただ、企業がライバルを過度にけん制するのは健全でない。他の通信大手もドコモと切磋琢磨する中で世界に通用する実力を磨き、通信業界全体の国際競争力向上につなげてほしい。
他方、ドコモは本業である通信事業で大規模な通信障害を起こした。収益源の多様化と、社会インフラの維持は両立させなければならない。再発防止に向けた一層の努力が必要だ。
(2021/11/2 05:00)
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