産業春秋／されど中国、変わらぬ重要度

中国上海市のロックダウン（都市封鎖）が１日午前０時（日本時間同１時）に事実上解除された。中国政府の「ゼロコロナ政策」で約２カ月間に及んだロックダウンは、あまりに大きな副反応を伴った。

影響は中国の国内外に及ぶ。上海日本商工クラブによると、上海市の日系製造業の８割が工場の操業停止を強いられ、９割が稼働率３割以下に抑えられた。日本国内では上海市から船舶が出航できない影響で調達難に見舞われた。

中国経済は成長率が大幅に鈍化した。５・５％前後の政府目標に対し、１―３月期の実質成長率は年率換算で４・８％にとどまる。２０２２年（暦年）も民間シンクタンクの間では３％台と厳しく見立てる向きもある。

上海市内の感染を市内に封じ込め、北京市には絶対に拡大させない―。秋の共産党大会で異例の３期目続投を目指す習近平国家主席が描くシナリオは思惑通りとはならなかった。むしろ非人道的な上海市内での中国政府の振る舞いが際だったと言える。

されど中国。日本にとって重要な巨大市場であることに変わりはない。中国の覇権主義的な行動には日米を軸に厳しくけん制しつつ、貿易では不即不離のしたたかな外交を再開したい。