(2022/7/27 05:00)
電話またはオンラインによる米中首脳会談が週内に開かれる見通しだ。焦点の一つは、トランプ前政権が講じた中国製品への制裁関税の一部を引き下げるかどうか。米国は歴史的なインフレ退治につなげたい意向で、経済減速が顕著な中国には“渡りに船”となる。ただ中国による知的財産の侵害などを黙認したとも受け止められかねず、バイデン大統領には慎重な判断が求められる。
今回の首脳会談では、対ロシア制裁で中国が“抜け穴”になっているウクライナ情勢や台湾情勢、中国への制裁関税の緩和が主要な議題になる見通しだ。
11月に中間選挙を控えるバイデン大統領は、有権者の不満が募るインフレ抑制に向けて利上げを加速するものの、収束の気配はない。むしろ利上げによる景気後退懸念がくすぶる。中国への制裁関税を一部引き下げ、輸入物価を抑えるという苦渋の選択を迫られていると言える。
一方の中国の習近平国家主席も自国経済が停滞する中で、秋に異例の3期目入りを目指す共産党大会を控える。ゼロコロナ政策によるロックダウン(都市封鎖)が響き、4―6月期の実質成長率は0・4%にとどまった。習氏は強い求心力を維持する上でもバイデン大統領の「決断」に期待しているようだ。
米国による制裁関税は発動から4年経過すれば見直すことになっていた。2018年7月6日に第1弾、同年8月23日に第2弾と合計4回行われた。中国も同時期に4回の報復制裁に動いている。両国による制裁見直しは経済面で「ウィンウィン」の関係になるが、仮に実現しても、実用主義に一時的に傾いただけと見るべきだろう。
中国による海洋進出や人権問題、不公正な貿易慣行は看過できない重大な問題だ。日米両政府は29日にワシントンで初めて開く経済版2プラス2「日米経済政策協議委員会」などを通じて、半導体などのサプライチェーン(供給網)強化や、中国の「一帯一路」に対抗したインド太平洋経済枠組み(IPEF)を推進するなど、新たな経済秩序の構築こそ急ぐ必要がある。
(2022/7/27 05:00)
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