産業春秋／岸田首相「安保」強化の外遊

岸田文雄首相はフランス、イタリア、英国、カナダに続いて最後の目的地である米国入りし、現地時間１３日にバイデン大統領との首脳会談に臨む。今回の外遊は、５月の広島サミットに向けた先進７カ国（Ｇ７）の連携強化が目的。

並行して、２０２２年末に策定した日本の新たな国家安全戦略について各国に説明するという。この戦略には「同志国」という新たな表現を用いている。同盟国である米国以外で、日本が同志として期待している国々だ。

英国とイタリアは次期戦闘機の共同開発国でもあり、協力関係を首脳間で確認する。さらに日英間では自衛隊と英国軍の部隊の共同運用や演習のための「日英円滑化協定」にも合意。安全保障面の関係が深まった。

日米間では首脳会談に先立ち、外相・防衛相による「２＋２」会談を対面で開催。日本が新たに保有する遠隔攻撃・反撃能力を踏まえた日米の役割分担の議論がスタートした。

これほど安全保障問題を重視した首相の外遊は、あまり記憶にない。ウクライナだけでなく、東アジア情勢も緊迫の度を増していることを実感させられる。平和と安定を願う産業界としても、これまで以上に日米首脳会談を注視したい。