産業春秋/日銀の誤算、市場の歪み解消せず

(2023/1/16 05:00)

 日銀には大きな誤算だったのではないか。0・5%程度を上限に設定していた10年物国債利回りが13日に一時0・5%台半ばまで上昇した。7年7カ月ぶりの高水準だった。日銀が金融緩和をさらに縮小し、容認する長期金利の上限を引き上げるとの観測が市場に広がった。

 日銀は2022年12月に長期金利の上限を0・25%から0・5%に引き上げている。大規模金融緩和により10年物国債を大量購入した結果、同国債の利回りが際立って低下し、0・25%の水準に張り付くなど「市場の歪み」が指摘されていた。10年物の利上げ余地を高める必要があった。

 日銀は金利を制御するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)で長期金利を0・5%に抑え、これを超えれば原則無制限に国債を買い入れる指し値オペを行う。

 そのため10年物国債利回りは上限の0・5%に張り付いていたが、10日に東京都区部の4%(22年12月)という高い消費者物価指数の上昇が発表されるなど市場では長期金利の上昇圧力が強まっていた。

 日銀は13日に約5兆円の国債を買い入れて長期金利を下げたが「市場の歪み」が課題として残る。17日に始まる日銀の金融政策決定会合を注視したい。

(2023/1/16 05:00)

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