産業春秋/ピアノ界の事業モデル

(2023/9/19 05:00)

数ある楽器のうちピアノは持ち運びができない代表例だ。各地を巡る弾き手はその場のピアノを使うことが多い。好みや相性を問わず、最大限の努力で道具を使いこなすことが求められる。

そんな常識に一石を投じたのがタカギクラヴィア(東京都渋谷区)社長の高木裕さん。所有するピアノを奏者が望む最良の状態に調律し、会場に持ち込む米スタインウェイピアノ流の事業モデルを国内で導入した。

約30年前の開始時は古い体質の関係者の妨害にあった。それでも「アーティストが理想とする音楽を支えたい」。会場でピアノの響きに関するデータを集め、弾き手とピアノ、ホールの三位一体を説き続けた。

7000回超の持ち込み実績を持つ高木さんはその活動が評価されて「第33回日本製鉄音楽賞」に輝いた。東京の紀尾井ホールで開かれた記念コンサートで、同時受賞したピアニスト・務川慧悟さんは、高木さんの調律による古ピアノを楽しげに弾いた。

日本製鉄は所有する紀尾井ホールを約100億円かけて、2027年までに刷新する。「ホールには音色があり、そのものが楽器」と高木さん。時を経て事業モデルは変わる。残るもの、新しくなるものを見極めたい。

(2023/9/19 05:00)

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