人と生きる ロボット新時代(6)オムロンロボット事業本部長・氏本拓志氏

(2023/11/15 05:00)

モバイル系のソフト強化

―国際ロボット展の見所は。

「前回はコンセプト色が強く商品展示が中心だったが、今回はより具体的に“ライン”として見せる。小間数を前回より2割ほど増やし、実際の製造現場を会場で再現して実機を用いたデモンストレーションを行う。これまで人でしかできなかった作業をロボットで実現する“匠を超える”フル自動化ラインや、人とロボットが一緒に働けるフレキシブルな生産ラインなどを設け、来場者にロボット導入効果などをイメージしてもらいやすいようにする。このほか、協調ロボットの新モデルも初披露する」

―受注状況は。

「地域別の濃淡があまりなく、全体的に堅調だ。ただ欧州は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化とインフレの影響で少し投資が弱い。製品別では自律移動ロボット(AMR)のモバイルロボットが最も好調で、多関節やパラレルリンクなどの産業用ロボットと、協調ロボットも前年を上回るレベルで受注がある。まだまだ人手作業が多い食品業界や、電気自動車(EV)シフトで部品の種類が変わり変種変量生産が増えている自動車業界などへの展開が多い」

―開発の方向性は。

「モバイルロボットのソフトウエア強化が必要だ。顧客の現場で使用台数が増えており、今まで以上にシミュレーションが欠かせなくなっている。台数が増えるとシミュレーションに時間がかかってしまうので、それに対応する。また、今後はロボットの予防保全に対するニーズが高まってくる。例えば『この部品の、この電流値の動きだとそろそろ寿命が来る』といったことがわかるようにしたい。そうなるとデータの収集・分析がさらに重要となる」

―制御機器事業を手がけるオムロン独自の製品・サービスを提供しています。

「当社の強みはモバイル・産業用・協調の各ロボットをトータルで提案でき、制御機器事業と連携できる点だ。2020年に発売した制御機器とロボットの制御を一体化する『ロボット統合コントローラー』は好評で、採用数も活用事例も増えてきた。複数のロボットを使って高速高精度に制御したいという要求は多い。コントローラーとつながるロボットの台数を増やすといった強化をしていく」

「11月1日に出資した高速データ統合技術を持つソルティスター(長野県塩尻市)は、ロボット事業との親和性が高い。25年ごろには協業した製品やサービスを出したい」(京都・新庄悠)

(2023/11/15 05:00)

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