社説/1年ぶり米中首脳会談 「競争管理」と対話で緊張緩和を

(2023/11/15 05:00)

米中首脳会談が15日、米サンフランシスコで開かれる。対面での会談は1年ぶり。中断している軍事対話の再開を協議するほか、両国の利害が一致する分野で建設的な関係を築けるかが焦点となる。バイデン米大統領は対中国とウクライナ情勢に加え、中東情勢とも向き合う「3正面」の課題に直面する。中国とは対話と意思疎通を継続することで緊張関係を緩和し、世界秩序を脅かす二つの軍事衝突の終息に向けた歩みを進めたい。

首脳会談は15―17日にサンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われる。

バイデン大統領は10月下旬の王毅外相との会談で、経済や安全保障をめぐる米中の競争に触れ、両国が責任を持って競争を管理する必要性を伝えていた。経済が低迷する中国も対立する豪州との関係改善に動くなど、外交に変化がみられていた。

中国は米国との経済摩擦の悪化を回避し、外資の取り込みを推進したい意向とみられる。バイデン大統領も24年は大統領選に追われるため、この機に関係改善を探ることが求められる。

米中の軍事対話は、2022年8月にペロシ米下院議長(当時)が台湾を訪れて以降、中断している。これを再開し、軍事的威圧を強める中国との偶発的な衝突を避けたい。バイデン大統領は24年1月の台湾総統選への中国の介入もけん制する見通しだが、台湾問題は中国の核心的利益。議論は平行線をたどるとみられ、対話を継続したい。

中東情勢では、米国と対立するイランがイスラム組織ハマスへの関与を深め、紛争が拡大する懸念がある。中国は3月にイランとサウジアラビアの国交正常化を仲介した。バイデン大統領が習近平国家主席にイラン抑止を働きかける可能性がある。習氏の対応が注目される。

両首脳は気候変動問題など、利害が一致する分野での協力も探る見通しだ。米中は意思疎通の継続により不測の事態を回避しつつ、非安全保障分野でいかに新たな関係を築くかが課題になる。今回の首脳会合を両国の深い溝を埋める一歩としたい。

(2023/11/15 05:00)

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