住友ファーマ、AI活用し医療機器開発 リハビリロボで薬事承認目指す

(2023/12/21 12:00)

住友ファーマは人工知能(AI)を活用した医療機器の開発を進めている。うつや認知症、リハビリ向けの脳波計や診断デバイス、デジタルセラピー機器などで患者個人の特徴や状況の違いに応じたアルゴリズムをAIで構築し、着実な診断、治療につなげる。すでに製品化している手指リハビリロボットではポータブルタイプ開発や薬事承認取得を目指す。まず国内をターゲットに2024年度以降積極投入し、ノウハウを構築して大市場の米国を中心に海外にも広げる計画。

  • AIで記憶刺激コンテンツを最適化するセラピー機器(イメージ)

AI活用の医療機器は、主力の医薬品以外で医療への貢献を図るフロンティア事業で展開している。医薬品だけでは達成が難しいとされる多様な健やかさ実現や医薬品とのシナジーで事業領域の拡大を図る。「医薬品事業を下支えする」(野村武彦フロンティア事業推進室長)ことで同社ならではの医療エコシステム形成も目指す。

うつや認知症関連はウエアラブル脳波計やデジタルの診断機器、セラピー機器といった複数機器を開発するなど注力している。脳波の強さを計測する脳波計では、AIでうつや認知症の人の特徴を周波数で見分ける。データ数が少ないと診断がばらつく場合もあるが「多くのデータを簡便な計測で収集でき、着実な診断につながる」(フロンティア事業推進室)と信頼性の高い診断になるという。

うつ病診断デバイスは活動量計や紫外線(UV)センサー、心拍数などのデータを基に生態や行動の特徴量の組み合わせで重症度などを診断する。就寝時の体温などでうつ病と関連強いデータをAIで探す。AIで膨大なデータを基に高精度な診断ができる。

  •     AIで進展具合に応じてリハビリできる手指リハビリロボット

セラピー機器は認知症患者の過去や生活状況のデータから患者の視聴覚を刺激するコンテンツをAIで最適化する。思い出ある場所の風景などで記憶を刺激し、心理安定化や会話によって焦燥性興奮など認知症の周辺症状緩和につなげる。

リハビリ機器は脳卒中などでの手指麻痺患者向けの装着型ロボット。患者本人の神経を流れる電気信号を基にAIが学習し、リハビリの進展具合に合わせられる。製品化した指5本をそれぞれ動かすタイプで、治療効果をうたえるように薬事承認取得を目指す。また装着したまま日常生活できるポータブルタイプを25年度に投入。機能を絞り込んで軽量化、人さし指から小指までの指4本をまとめて動かす方式とする。

AIは海外展開でも役立つ。アルゴリズムに人種や地域差による違いがある場合でもAIを活用すれば対応しやすい。

(2023/12/21 12:00)

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