ボールネジ向け部品で自動化に貢献 日本ピストンリング、技術磨き100種以上に対応

(2023/12/25 12:00)

工作機械やロボットなど自動機器の直進動作を支えるボールネジ。ネジの軸上をナットが移動し、回転運動を直進運動に変換する。滑らかに、高速で動かすため、ナットは複数のボール(鋼球)とボールを循環させるトンネルのような部品を内蔵している。日本ピストンリング(NPR)は金属粉末射出成形(MIM)の技術を使い、この循環部品を量産し、ボールネジメーカーに供給している。

  • ボールネジの軸上を移動するナットは複数のボール(鋼球)とボールを循環させるトンネルのような循環部品を内蔵している

同部品は内部に曲がったトンネル状の経路を持ち、ボールの循環も五つほどの方式がある。同社は「各循環方式の経験値があるのが強み」(森京介開発営業第一部メタモールド営業室アシスタントシニアエンジニア)で、国内トップクラスの100種類以上の循環部品を生産できる。

製造の難しさは、ボールネジの軸とナットと循環部品という全体設計が終わった段階で、循環部品だけの生産を依頼されること。顧客の設計に対し量産のための設計を提案し、すり合わせることが必要なため、提案の引き出しの多さが重要になる。

MIMで生産するのは切削加工と比べて材料のムダが少なく、コストを抑えられるため。鋳造品と比べ表面がきれいで、ボールをスムーズに循環できる利点がある。循環部品には樹脂製もあるが、工作機械などの高出力、高速回転には金属製の耐久力が求められる。

同社は微細形状に対応するため流動性の高い材料を使い、100度C以下という比較的低い温度で成形する。成形時の収縮が少なく金型から部品を外しやすいのが特徴で「顧客の設計形状を再現しやすい」(同)という。形状を矯正するプレス加工や熱処理にも独自のノウハウを持つ。

循環部品はボールネジに不可欠で、底堅い需要が続く見通し。海外製品とのコスト競争はあるが、品質や耐久性が重視される。同社は自動車部品生産で培った品質管理手法を生かし、差別化を図ってきた。補修部品を含むカタログ製品として生産リードタイムへの要求も強いため、工場内の動線や製品ハンドリングの見直しといった生産改善を積み上げ、競争力を磨く考えだ。

(2023/12/25 12:00)

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