(2024/1/9 12:00)
車の電動化が進む中、高いエネルギー密度・安全性を持つ車載電池で貢献するパナソニックエナジー。旺盛な需要に対応するため技術やモノづくりのコア人材強化に向け、2025年度までに国内で22年度比1000人の増強を計画する。人材を経営の最重要資本と位置付け、既存社員の働く選択肢と新たな雇用拡大などを目的に、23年3月、東京オフィス(東京都中央区)を新設。社員による自発的な企画提案など、狙い以上の効果が出ている。
パナソニックエナジーは30年度に22年度比3倍増の3兆円の売上高を目指し、定期採用に加えキャリア採用も強化している。生島裕也人事・総務センター人事戦略室主幹は「多様な価値観を持った人材を生かせる仕組みや環境を作り新たな価値創造につなげたい」と東京オフィス開設の意義を語る。従来は本社のある関西に拠点が偏重し、関東圏の人材採用難やパートナーの転勤などで仕事が続けられない点などが課題だった。新拠点開設から8カ月で約10人のキャリア採用につながった。
22年7月にキャリア入社した住田美生企画センターESG担当部長は「(本社が大阪府だが)転居がマストではなかったことに加え、経営陣がESG(環境・社会・企業統治)に本気で取り組む姿勢に共感を覚え入社を決めた」という。前職までの知識を生かし、ESG目標の進捗(しんちょく)チェックや統合リポート作成などの業務にあたる。
住田部長は東京オフィス開設前、在宅に加えパナソニックグループの東京の拠点を使っていたが“間借り感”が拭えなかった。パナエナジーの新拠点はフリーアドレス制で「普段の業務で関わらない社員と会話が生まれ、接点を持つことができる」(同)と仕事のやりやすさも感じている。
22年4月にキャリア入社した間々田順一リーガルセンター法務企画部グローバル取引管理・ERM課主幹は、経済制裁などあらゆる事象に対して社内指導や監査などを行う貿易コンプライアンス業務に従事。前職は東京の会社で働いており、入社を機に本社のある大阪府に家族で転居したが、東京オフィス開設に合わせ手を挙げた。
「家族は元の環境に戻れてのびのび生活ができている」(間々田主幹)という。本社の上司やメンバーと距離が離れた分「能動的に動くようになった。面談も相手の意図を先読みし、認識合わせをして仕事を進めていく」(同)など密度の高いコミュニケーションにつながっている。
パナエナジーは各拠点ごとに若手中心の委員会を作り、働きやすい環境整備に取り組む。東京オフィスは緑を多く取り入れ、人に最適な自然環境に近づけた。複数の職種の社員や出張者、役員が顔を合わせる月1回程度の社員交流会も同委員会の発案。こうした機会が社員から自発的に生まれるなど、当初の目的以上の効果も出始めている。生島主幹は「柔軟な働き方に対応できる会社として人材獲得の幅が広がったのは大きな成果」と強調。今後も多様な人材の能力を生かせる仕組み作りに注力していく。
(2024/1/9 12:00)
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