産業春秋/円安と“デジタル赤字”

(2024/5/14 05:00)

日本の“稼ぐ力”を示す経常収支。財務省によると、2023年度は25・3兆円の黒字で、黒字幅は過去最大を更新した。本来なら円高要因だが、足元は歴史的な円安で推移している。

日本の経常収支は貿易赤字を第1次所得収支の黒字で補う構造だ。第1次所得収支は、海外子会社から受け取る利子や配当など。23年度は過去最大の35・5兆円の黒字だった。だが海外で稼いだ外貨はそのまま海外で再投資されるケースが多い。円に交換されず、円高要因にならない。

貿易収支は3・5兆円の赤字、サービス収支は2・4兆円の赤字だった。訪日外国人客数の回復により旅行収支は4・2兆円と過去最大の黒字を計上したものの、第1次所得収支に依存する基調は変わらない。

「デジタル赤字」―。GAFAなど海外の巨大IT企業が提供するクラウドサービスやネット広告などへの支払いが増え、赤字幅は5兆円超にも達する。新たな円安要因になりつつある。

ただデジタル赤字の拡大は、それだけ日本企業のデジタル化が進んだことを意味する。生産性の向上と新価値の創出により日本市場の魅力を高め、外資の誘致を促す。その実現に向けた過渡期にあると発想を変えてみては。

(2024/5/14 05:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン