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[ 科学技術・大学 ]
(2016/6/28 05:00)
星薬科大学先端生命科学研究所の塩田清二特任教授と富山大学大学院理工学研究部の中町智哉助教らは、アミノ酸の塊であるペプチドの一種「下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)」に、涙液の分泌を促す作用があることをマウスで突き止めた。眼球が乾燥する「ドライアイ」の原因解明や治療薬の開発につながる可能性がある。
研究チームはまず、遺伝子組み換え技術を使ってPACAPを作れなくしたマウスを観察した。その結果、若年時から涙液の分泌が少なく、高齢になると目の表面を覆う角膜に障害が出るなど、ドライアイに似た症状が現れることを発見した。
PACAPの影響を調べるため、正常なマウスにPACAPを点眼し効果を確かめた。比較対象の食塩水を点眼したマウスに比べて涙液量が約2倍に増え、効果が約45分持続。同様にPACAPを作れない遺伝子改変マウスにPACAPを点眼すると、涙液の分泌量が回復した。
涙液は眼球周辺にある器官「涙腺」で作られる。マウスの涙腺ではPACAPが副交感神経から分泌され、涙液を作る細胞「涙腺腺房細胞」にある受容体「PAC1―R」と結合する。その結果、水分子の通り道の役割を果たすたんぱく質の一種「アクアポリン(AQP)5」が細胞膜に移動し、涙液が分泌されやすくなることが分かった。成果は27日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。
(2016/6/28 05:00)
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