産業春秋/真鍋氏にみる研究の自由と知の循環

(2021/10/8 05:00)

今年のノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏の受賞が決まった。それ自体はうれしいが、会見での発言に日本における科学技術や学術のありようを考えされられた。

米国では「政府と学術界との意思疎通が十分に行われているのが日本との違い」と真鍋氏はいう。多くの人が菅政権での日本学術会議の会員任命問題や、ちぐはぐな新型コロナ対策を頭に浮かべたのではないか。

4日発足した岸田内閣は成長戦略に「科学技術立国」を掲げる。ただ科学技術を産業振興につなげるには予算規模がすべてではない。社会や政策での知の基盤と位置付け、真鍋氏のように「やりたい研究が自由にできる」環境を整え、さらに成果をいち早く社会実装する仕組みが必要だ。

自由な研究、多様な研究からイノベーションのタネを育て、産業や社会にインパクトを与える。それには、世界的な潮流である頭脳循環を生かして優れた才能を日本に呼び込んだり、海外の企業・機関との連携を進めたり。あちこちに存在する目詰まりの解消やタコツボ化の打破が先決ではないか。

真鍋氏の研究分野である大気の循環が人類の生存に深く関わっているように、知の自由と循環こそが産業や社会には欠かせない。

(2021/10/8 05:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

専門誌・海外ニュースヘッドライン

専門誌

↓もっと見る

海外ニュース

↓もっと見る

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン