産業春秋/1―3月GDP、楽観できない理由

(2023/6/9 05:00)

名目国内総生産(GDP)成長率が年率換算で8・3%。どこの国の成長率かと思ったら日本の1―3月期のGDP改定値の数値だ。速報値の7・1%から上方修正され、高い伸び率を示した。だが素直には喜べない。

改定値のGDPデフレーターはインフレを意味する1を超える1・3で、物価変動の影響を除いた1―3月期の実質GDPは前期比0・7%増、年率換算で2・7%の成長。それぞれ速報値から上方修正されたものの、在庫の積み上がりによるところが大きい。

統計上、在庫の増加はGDPにはプラスに作用する。1―3月期の民間在庫変動の寄与度は、速報値のプラス0・1%からプラス0・4%に上方修正された。輸出の弱含みが影響したとみられ、前向きな在庫増ではなさそう。

日本経済はコロナ禍の行動制限が緩和され、正常化に向かいつつあり、個人消費や設備投資などの内需が成長をけん引している。問題は外需。1―3月期の輸出は速報値と同じ前期比4・2%減と縮小した。

円ドル相場の行方も気がかりだ。円安が進めば輸入物価が上昇し、内需に影響する。といって円高ではますます輸出が減りかねない。懸念は多く、今回の内閣府の発表も楽観できない。

(2023/6/9 05:00)

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