(2023/11/10 05:00)
経済産業省は、従業員2000人以下の企業を「中堅企業」と法的に位置付ける方針を決めた。中堅企業の定義を明確化し、給与総額や従業員数の伸び率で大企業を上回る中堅企業への支援を強化する。中堅企業が多く立地する地方の持続的な賃上げや、中小企業へのM&A(合併・買収)によるグループ化などを後押しし、産業界の生産性が向上されると期待したい。中堅企業を税制面などで優遇することで、中小企業が中堅企業を目指す効果も引き出したい。
経産省は7日に開いた産業構造審議会(経産相の諮問機関)で、中堅企業の定義を明確化する方針を表明した。2024年の通常国会に産業競争力強化法の改正案を提出する方針だ。海外事業を強化してきた大企業に対し、潜在的な成長力が強い中堅企業による国内投資を拡大することで、日本経済の持続的な成長につながると期待したい。
経産省によると、中小企業は製造業の場合「資本金3億円以下または従業員300人以下」と定義し、製品開発や設備投資などを対象に金利・税制面で優遇してきた。曖昧だった中堅企業の位置付けを法的に明確化し、中堅企業に的を絞った支援策も講じることにした。
従業員が2000人超に達すると労働生産性は十分に高まるとみており、その手前の2000人以下を中堅企業と位置付ける。約9800の企業が対象になるという。賃上げ率などの要件を満たす中堅企業の設備投資やM&Aを支援する税制上の優遇措置を講じる。適切な基準設定と優遇措置だと評価できる。
これまで中小企業の中には、中小ゆえの優遇措置を受けようと企業規模をあえて抑える向きもあったが、中小企業が中堅企業を目指すインセンティブ(誘因)にもなると期待したい。
中堅企業は地域の若年層の所得増に貢献し、中小企業へのM&Aにより経営資源の集約化や労働移動の受け皿になっているという。複数の中小企業を束ねるグループ化は産業界の生産性向上に資する。中堅企業への重点支援が低い日本の潜在成長率を引き上げると期待したい。
(2023/11/10 05:00)
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