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(2023/12/6 05:00)
体調測定・動作補助活用
建設RXコンソーシアムの市販ツール分科会は、異業種向けに開発された製品の活用を進める。足元の対象はバイタルセンサーとアシストスーツ、飛行ロボット(ドローン)の三つだ。建設現場で使いやすく、より高い効果を引き出せる仕様を追求。メーカーやベンダーとともに改良・量産し、導入コストを抑える絵を描く。主査を務める鹿島建築技術部の掛谷誠課長は「魅力ある建設業界をつくる“仲間づくり”がしたい」と意気込む。
建設業は他産業に比べ、熱中症による死傷者数が多い。作業員の高齢化も進む中、「発症リスクを軽減する手段の一つ」(日立造船安全部の友平尚男専門課長)と見るのがバイタルセンサーだ。管理システムと併せて導入し、体温や心拍数、活動量などを計測。危険な状態になる前に警報を鳴らし、本人や周囲に体調の変化を認識させて事故を防ぐ。同時に対策用品の予防効果もまとめ、安全な作業環境の確立を目指す。
この夏には、作業員約400人で効果を検証。深部体温を常時計測できるBiodata Bank(東京都渋谷区)の腕時計型バイタルセンサーを装着した上で、ファン付き作業服や清涼飲料水、シャープの適温畜冷材など対策用品と、休憩による冷却効果の可視化に挑んだ。さらに検証を重ね、効果的な解を推定し熱中症の予防施策としてまとめる計画だ。建設業界で統一した管理システムの構築も検討する。
一方、アシストスーツでも市販品の調査・評価が進む。建設現場では現物合わせや悪い足場への対応など、今も作業員の経験や体力に頼る作業が多く存在する。このため機械化が難しく、検討しても実現しにくい面がある。ただ「40歳以上の作業者のうち、60%が腰痛に苦しんでいる」(清水建設生産技術開発センターの村松慶紀氏)と、対策は必至だ。
そこで進めるのが、サポーター型や外骨格型など市販のアシストスーツを対象とした試着会の開催だ。元請けのゼネコンに加え、協力会社からも参加。これまでに安全帯との親和性や軽量・小型化、着脱のしやすさなどを重視する声が上がっている。作業や工種の絞り込みも行い、建設現場と開発メーカーの双方で受け入れられる機能の提言を急ぐ。
ドローンの導入に向けた試みも活発だ。エアロセンス技術開発部の鈴木康輔統括部長は「建設現場での実証実験や標準化活動、法規制への対応などへの期待が強い」との感触を示す。当面は市販ドローンの特徴や現場利用の評価といった情報を集約し、課題を整理してメーカー・ベンダーと共有。“建設現場仕様”を仕上げる。(随時掲載)
(2023/12/6 05:00)