(2024/1/22 05:00)
自民党の政治資金問題をめぐり、刑事責任を問われた3派閥(安倍、岸田、二階派)が派閥の解散を決めた。だが解散は政治の信頼回復に向けた一歩に過ぎない。党は裏金作りの実態や使途の説明責任を果たし、国民が納得する再発防止策を講じてほしい。でなければ「政治とカネ」をめぐる党の統治改革はおぼつかない。26日召集の通常国会で与野党は審議を尽くし、自民党の体質一新につなげたい。
他方、内政の混乱は政権運営を不安定にする。政策遂行力に乏しい内向き政治では、デフレ脱却や中東・ウクライナ情勢、米中経済など内外に山積する課題に正面から向き合えない。党内の求心力低下が不可避な岸田文雄首相が政権基盤を立て直せるのか、正念場を迎える。
東京地検特捜部は3派閥の会計責任者らを立件し、組織的な裏金作りが指摘された最大派閥・安倍派の幹部議員の立件は見送った。政治資金規正法は収支報告書の作成・提出義務を会計責任者に課す。幹部議員は政治資金の還流を認めるも、収支報告書不記載は認識していないと否定する。幹部議員に共謀を問えない現行法は「ザル法」とされ、大幅な改正を求めたい。
自民党は25日にも政治改革案の中間取りまとめを策定する。政治資金の透明化や第三者監査はもとより、会計責任者が有罪なら議員の責任も問う連座制も導入したい。麻生・茂木両派は派閥を存続させる意向で、政治資金パーティーの自粛・禁止や収支の開示内容の拡充などの対策も講じる必要があろう。自民党は1989年に政治資金パーティーの自粛を宣言していた。歴史の繰り返しは許されない。
岸田首相は派閥力学に配慮して党・閣僚人事を決めてきた。これら人事のあり方や、派閥が担ってきた若手議員の育成なども新たな仕組みを築きたい。
自民党が政権を奪還した2012年以降の4回の衆院選は投票率が戦後最低水準の50%台だった。政治不信が背景にあるが皮肉にも低い投票率は自民党を利するとされる。有権者はいま一度政治に関心を寄せ、自民党に襟を正させる必要がある。
(2024/1/22 05:00)
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