第49回発明大賞、本賞にトリーエンジニアリング

(2024/3/8 05:00)

日本発明振興協会(石井卓爾会長)と日刊工業新聞社共催の「第49回(2023年度)発明大賞」に21件の発明が選ばれた。発明大賞は発明考案を通じて産業の発展や国民生活の向上に寄与した資本金10億円以下の中堅・中小企業や個人、グループに贈られる。表彰式は15日に東京都港区の明治記念館で開く。

発明大賞 本賞

省エネを実現するエアーノズル=トリーエンジニアリング(社長・古堤裕行氏)

薄板状のエアーを吹き付け、容器表面に付着した水滴や異物を取り除ける。内部構造と吐出部の形状を独自設計し、風速を高めることで、水滴除去効率を60%程度からほぼ100%に引き上げた。エアーの消費量を大幅に減らし、ランニングコストを減らせる。さらに内部構造を工夫し圧縮したエアーを吐出することで乱流の発生を防ぎ低騒音化できた。またシステム全体を変更することなく、既存のノズルから取り換えるだけで効果が得られる。

ノズル導入で従来比80%以上のエネルギーコスト削減効果がある。国内消費電力量の4%と言われるエアブローによる電力消費量を1%以上削減できると見込む。(トリーエンジニアリング=兵庫県西宮市)

発明大賞 東京都知事賞

バックスピン機構付き給紙装置及び給紙方法=塚崎昌弘氏

送りロールがない給紙装置と組み合わせ1ミリメートル以下の段ボールのシートを加工できる。円柱状のコロを逆回転した後、正回転に戻し給紙するユニットを使い、段ボールの製函機用の薄紙を1枚ずつ分離し給紙する。シートが整った状態で給紙できるため精度が向上する。さらに正回転に戻すことで紙の自重を受けず通紙が可能で、シート詰まりを防止できる。

シートの厚みに影響されず正確に1枚ずつ分離し給紙できるため、薄紙加工の際に苦労する前ゲートの隙間調整が不要で、次工程の準備を簡略化できる。(大阪市西成区)

発明大賞 日本発明振興協会会長賞

スチームトラップ内部のスケール除去機構=ミヤワキ(社長・宮脇健輔氏)

工場内にある蒸気配管・機器にたまった復水を自動排出する「蒸気トラップ」で、作業時間を従来の10分の1の2―3分に縮められる。ハンドルを指で回すだけで製品内部の弁口周辺のスケール(堆積物)を除去でき、ユーザーの作業負担を減らせる。

清掃棒と本体ケースの間にシール性の高いパッキンを設置する際、さらに耐熱性の高いパッキンで挟むことで、シール性の高いパッキンを熱劣化から守る設計を考案。回転しながらスケールを削り取る清掃棒の動きを確保し、本体ケースの間からの流体漏れを防げる。(ミヤワキ=大阪市淀川区)

発明大賞 日刊工業新聞社賞

シート巻取装置=甲南設計工業(社長・澤田昌浩氏)

樹脂シートの巻き取り機の巻き替え作業を全自動で行える。巻き付け用の両面テープが不要。上巻と下巻の切り替え式で、ユーザーの巻き替え作業が不要になる。従来の手作業を全自動化することで、まき直しの手間や異物混入によるクレームをなくせる。さらに従来行っていたシート切断時の切傷事故や巻き付け時の巻き込まれ事故を防げる。

巻き芯は3―8インチで部品交換なしで対応。2・5ミリメートル程度の厚物シートの自動巻き付けもできる。操作の熟練度は不要。両面テープを使わないため、ロス品を再生できる。(甲南設計工業=兵庫県三木市)

(2024/3/8 05:00)

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