[ 金融・商況 ]
(2017/1/2 17:00)
インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」で公共料金を支払えるサービスが相次いで登場している。4月には電力に続き都市ガスでも家庭向け販売が全面自由化。新規参入企業は、安さだけでなく、金融とITを融合した「フィンテック」も武器に顧客獲得を急ぐ。
ビットコインでの支払いが公共料金にまで広がってきた背景には、仮想通貨の利用者保護の法制度が整ってきたことも大きい。
仮想通貨の取引所「コインチェック」を運営するレジュプレス(東京)はLPガス販売の三ツ輪産業(同)と提携。電力小売りに参入した三ツ輪子会社は2016年11月、ビットコインでの支払いと、同社と契約を結ぶ前の電気代の4~6%相当分をビットコインで還元するプランのどちらかを選べる制度を導入した。
利用するにはコインチェックに専用口座を開設する必要がある。レジュプレスの大塚雄介最高執行責任者は「まずはビットコインを持ってもらうことが大切だ」として、公共料金支払いをきっかけとした利用者層の拡大に期待する。
自由化を控えたガス業界では、LPガス大手の日本瓦斯が16年10月にビットコイン決済を導入。スマートフォンの利用料金では、格安スマホ「ロケットモバイル」を運営するエコノミカル(東京)が17年2月からビットコイン払いを受け付ける。
仮想通貨以外でも、フィンテック活用が進む。日本瓦斯は、無料通信アプリ「LINE」でのガス器具販売を開始。さらにスマホでクレジットカード支払いを登録できるようにした。技術を提供したベンチャー企業メタップスの荻原充彦執行役員は「会社の経営分析や顧客の購買行動予測に決済データを利用することもできる」と述べ、フィンテック活用の利点を強調している。
【仮想通貨をめぐる法制度】
2016年5月、仮想通貨の交換業者を金融庁の監督対象とする改正資金決済法が成立した。17年4月に施行され、仮想通貨の利用者保護の枠組みが整う。政府・与党が17年度税制改正で、仮想通貨を支払い手段と位置付け、取引する際にかかる消費税を非課税とする方針を決めたことも仮想通貨普及の追い風になる。
(時事)
(2017/1/2 17:00)