4つの試験に1台で対応「電気安全規格試験マルチアナライザー 旗艦モデル」開発者に聞く【菊水電子工業/PR】

(2018/4/9 00:00)

電気安全規格試験マルチアナライザー フラッグシップモデル投入

耐電圧・絶縁抵抗・アース導通・漏洩電流・部分放電 各試験に対応するオールラウンダー

 あらゆる電気製品にとって欠かすことができないのは安全性の確保だ。漏電や絶縁体の不良により人体に悪影響があってはならない。そのため製品の開発中や完成品出荷の際には必ず安全試験器による検査を行う。菊水電子工業はエレクトロニクス産業や家電むけの安全関連試験装置を手がける。同社の安全試験装置の中でフラッグシップとして開発したのが「TOS9300シリーズ」だ。2018年4月に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催する「テクノフロンティア」に参考出展し、7月末に発売する。最大の特徴は耐電圧試験、絶縁抵抗試験、アース導通試験、漏洩電流試験(タッチカレント測定)の四つの試験を一台でまかなえる点だ。同社がこのような“オールインワンモデル”を市場へ投入するのは初めて。新製品は約16年前に発売した耐電圧・絶縁抵抗試験器「TOS9200シリーズ」の後継機として投入するだけでなく、グローバル市場での占有率拡大も目指す。そこで同社の開発者に新製品の特徴や強みを聞いた。

新たなニーズ開拓

製品開発一部開発三課 課長代理シニアエキスパート 奥脇 経三 氏

―新安全試験複合器TOS9300シリーズを開発しました。

 「TOS9300シリーズは一般の電気製品の安全性を確認する製品だ。電気製品は日本工業規格(JIS)や国際電気標準会議規格(IEC)などの安全基準に基づき安全性の評価を行っている。安全評価の分野で基本となるのが『耐電圧試験』『絶縁抵抗試験』『アース導通試験』『漏洩電流試験』の四つだ。9300シリーズのうち『TOS9300』では交流の耐電圧試験と絶縁抵抗試験が可能。『TOS9301』では交流・直流の耐電圧試験と絶縁抵抗試験が実施できる。『TOS9303LC』では1台で交流・直流の耐電圧試験、絶縁抵抗試験、アース導通試験、漏洩電流試験を行うことができる。それぞれの試験に対応した6機種と、高電圧を分配する装置(スキャナー)を取り付けた1機種の全7機種を開発した」

―従来は単独機能や多くても二つの機能を持つ装置を提供していました。なぜ四つの試験を1台にまとめた装置を開発したのですか。

 「これまで国内のユーザーはオールインワンタイプを望んでいなかった。耐電圧試験と絶縁抵抗試験が可能な装置や耐圧試験とアース導電が可能な機器などを別々に購入するケースが多かった。一方、海外の顧客はすべての試験を1台で可能な複合器を望んでいる。国内の市場が飽和状態になりつつあるため、これからは海外売り上げの拡大も目指していく。海外の拡販にはどうしても複合器が必要だ。現行機種の『TOS9200シリーズ』は発売以来売れ続けている。国内外の最終生産ラインで必ず実施する安全試験の指定機種になっている。新製品のうちベーシックな試験器である『TOS9300』や『TOS9301』では置き換え需要を狙うほか、四つの試験が1台で可能な『TOS9303LC』で海外市場や国内の潜在的な需要など新たな分野のニーズを取り込んでいく」

―新安全試験複合器の開発で工夫した点はありますか。

 「耐圧試験と絶縁抵抗試験は比較的似ている。“高電圧”を出力して絶縁物に流れる電流を計測することで絶縁破壊の有無を確認したり、絶縁抵抗値が基準以上かどうかを確認したりするため、この二つは同じ筐体に入れやすい。だが、アース導通試験や漏洩電流試験はそれぞれ全く異なる性質を持つ。アース導通試験は20―30アンぺアなど“大電流”を流しながらアースの接触抵抗を測る。一方、漏洩電流試験は人体の等価回路を利用した独自の測定回路で、他の機能における測定とは全く違う。さまざまな機能を一つのパッケージに入れるために、どのような設計をすれば良いのか考えることに苦労した」

  • 大型ディスプレーで視認性向上

―他社でも四つの試験が可能なオールインワンの装置を提供しています。貴社製品の強みを教えてください。

 「他社製は装置内で機能ブロックの供用をしていることが挙げられる。耐圧・絶縁抵抗試験で使用する高圧電源とアース導通試験で使う大電流のパワー部を共有化している。そこから出力だけを高圧用と大電流用のトランスを利用している。一方、当社の9300シリーズではそれぞれの試験に合わせ専用の出力回路が良いという結論に達した。耐電圧試験、絶縁抵抗試験、アース導通試験それぞれに個別のパワーユニットを持つ。このような方式を採用した理由は、各試験の主旨に合わせた出力特性を実現させ、安全規格で規定されている要求事項への適合性を高めるためだ。耐電圧試験と絶縁抵抗試験も電圧を利用する意味では同じだが、耐電圧では異常があった際には壊してでも検出することがありパワーが必要だが、絶縁抵抗試験では抵抗値が重要で大きなパワーは必要ない。また、直流の耐電圧では出力波形のリップル分が小さいことが要求されている。さらにアース導通試験に関しても一般的には交流で試験を行うが、直流で試験する需要が出てきたことも一因だ。例えば太陽電池は直流で発電するため、アース線やアース(地面)に接地する導通試験も同じように直流で行う。これに対応するには、パワー部そのものから交流にも直流にも対応可能にする必要があり、当社では新規にインバーターを開発した」

―このほかに工夫した点はありますか。

 「装置のフロント面に大型ディスプレーを採用して視認性や操作性を追求した。画面中には回路図を表示することができる。それぞれの試験や設定により回路図が動く。また、画面の中にも説明文を表示して文字と図の両方でユーザーの理解を促している。これまでの機種は設定した数値だけを表示していたため、規格書や取扱説明書を読み込む必要があった。新製品では『規格の見える化』を実現した」

―販売価格をどのように設定していますか。

 「安全試験器の信頼性を向上すれば顧客製品の品質向上につながる。複数の試験ポイントを同時に測定したり、複数の種類の試験を同時に測ったりすることで、試験自体の時間は変わらなくても準備時間を含めた『タクトタイム』を短縮できる。このことでユーザーの生産性向上に貢献する。装置の価格は48万円から(消費税抜き)を想定する」

新安全試験複合器「TOS9300」使いやすさを追求

  • 材料・部材メーカーなど新たな需要の獲得に期待高まる

開発・生産部門、試験機関向け

 菊水電子工業の現行モデル「TOS9200」は交流・直流の耐電圧試験と絶縁抵抗試験器の高品質・高性能モデルとして約16年前の発売以降、好調な売り上げを示していた。ただ、主要部品や部材が製造中止になるなど安定生産が困難な状況になっており、代替変更の必要が出てきた。さらに一般家電用品や産業機器の生産ラインが海外移転することで安全試験器も海外での使用を意識した対応を迫られている。

複合モデル

 安全試験器市場では、低価格モデルと複合モデルの需要が増加している。複合モデルで先行するのは台湾メーカーだ。海外メーカーの複合モデルでは交流・直流の耐電圧試験、絶縁抵抗試験に加えアース導通試験、漏洩電流試験がラインアップしている。

 このような状況を踏まえ、菊水電子工業が開発したのが新安全試験複合器「TOS9300」だ。現行器の機能、性能、デザインを刷新するだけでなく、潜在顧客の取り込みやシェアの拡大を目指し、“使いやすさを追求したオールラウンダー”として家電メーカーの開発部門や生産ラインのほか、安全評価を行う試験機関へ訴求する。

絶縁部材評価

 市場シェアが高い海外メーカーにもない機能が「部分放電測定機能」だ。7機種のうち「TOS9301PD」が同機能を装備する。部分放電測定とは絶縁の部材を評価する際に利用する。電気自動車や太陽電池の普及に伴いニーズが増加している。これは耐電圧試験とは異なり、安全性を確認するものではない。絶縁物に電圧を印加する際、経度の前兆として始まるのが絶縁物のなかに小さい気泡などがある場合に微量の放電が始まる「部分放電」だ。部分放電があっても絶縁物自体に問題はないが、長時間部分放電が続くと絶縁物の組成自体が崩れる場合もある。TOS9301PDは、部分放電を測定する専用設計機器に比べれば精度は劣るが、絶縁材料の評価が可能なため材料・部材メーカーのほか、トランスやモーターの評価・開発を行う企業や機関など新たな需要の獲得にも期待がかかる。

(2018/4/9 00:00)

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