[ ICT ]

【電子版】松岡功の「IoT&AI最前線」(30)/ガートナーが語る「AIの今、種類、取り組み方」

(2018/5/18 05:00)

AIは「自分で運転」してスキルを高める努力が大事

  • ガートナー ジャパン ガートナーリサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストの亦賀忠明氏

 企業として、またその一員として、人工知能(AI)をどう捉えて活用すればよいのか。今回はAIの最新動向とともに、そうした疑問に対する答えへの気付きになればとの思いを込めてお届けしたい。

 今回の内容は、ガートナー ジャパンが4月25~27日に都内で開いた自社フォーラム「ガートナーITインフラストラクチャ、オペレーション・マネジメント&データセンターサミット2018」において、同社ガートナーリサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストの亦賀(またが)忠明氏が「AIトレンド2018」をテーマに行った講演から抜粋したものである。以下、三つの図を中心に話を進めたい。

  • 【図1】ガートナーの「ハイプサイクル」におけるAIの現状(出典:ガートナー ジャパンの資料)

 まず、図1は、注目される技術が今どのような状況にあるかを示したガートナー独自の「ハイプサイクル」におけるAIの現状を表したものである。これによると、日本でのAIは1年前と同じく「過度な期待」のピーク期にある。

 これはすなわち、「期待と現実のギャップがあり、何でもAIと言われている一方、冷静な判断によって本物と偽物の見分けを付けようという機運も高まっている。その両方が相まって幻滅期に入っていくところ」(亦賀氏)との状況だという。

 さらに、「今は引き続き、可能性を探ったり、試すというフェーズ。そうした中で、“自分で運転”を開始し、スキルを高める努力が不可欠となる」とも語った。この「自分で運転」とはまさしく「自分で使ってみる」との意味で、同氏が講演を通して最も強調してメッセージである。

  • 【図2】市場スタック別に見たAI関連製品・サービスのマップ(出典:ガートナー ジャパンの資料)

 次に、図2は、有力ベンダー各社が提供しているAI関連製品・サービスを、右側のオレンジ色の5階層からなる市場スタックに従ってマッピングしたものである。AI関連製品・サービスと言っても、市場スタックを区別せずに混同しているケースが少なくない。これらを比較検討する際は、まず市場スタックの階層が同じかどうかを確認する必要がある。

 同氏はさらに、「昨年まではクラウドAPIを活用しようという動きが活発だったが、今年に入って一段落した感じがある。それに代わって、今年に入って活発になってきたのは、AIプラットフォームを利用する動きだ。AIプラットフォームはグローバルなクラウドベンダーがこぞって提供し始めており、今最もホットな市場競争が繰り広げられている」と語った。

しっかりした仮説と検証でPOCを成功につなげよ

  • 【図3】POCで成功するための要件(出典:ガートナー ジャパンの資料)

 そして、図3は、亦賀氏が「2018年にフォーカスすべきこと」として、「POC(実証実験)で成功する」ことを挙げたものである。POCはAIのような新しい技術を取り入れようとする際に有効だが、最近では、気が付くと周りがPOCだらけで、成功率はよくないとの印象が広がっている。

 だが、同氏はこのPOCで成功することが重要だと説く。では成功するためのポイントは何か。それを端的に示したのが、図3である。同氏が説明していた中で、とりわけ強調していたのは「しっかりとした仮説を立てることがより良い検証につながる」ことだ。そして、このPOCの取り組みにおいても、「自分で運転することがPOCの成功につながる」とあらためて強調していた。

 なお、AIをテーマにした亦賀氏の講演については、昨年の同フォーラムにおける内容も2017年5月5日掲載の本連載で紹介しているので参照していただきたい。(隔週金曜日に掲載)

著者プロフィール

松岡 功(まつおか・いさお)

 フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアでコラムや解説記事を執筆中。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。危機管理コンサルティング会社が行うメディアトレーニングのアドバイザーも務める。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年生まれ、大阪府出身。

(2018/5/18 05:00)

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