働き方改革は意識の改革だ。【PR】

(2019/7/1 00:00)

可視経営協会代表理事 石橋博史氏 ジャーナリスト 田原総一朗氏 対談

 政府主導による働き方改革法案が4月から施行された。今回は、働き方改革の一環として可視化による経営革新を推し進める可視経営協会代表理事の石橋博史氏と、常に問題意識を持って核心に迫るジャーナリスト田原総一朗氏のスペシャル対談をお送りする。働き方改革の本質と問題点について忌憚(きたん)のない意見交換をしていただいた。

困難にぶつかった時、それを面白がれるかどうか。(田原)

田原総一朗 ジャーナリスト

 1960年、岩波映画製作所入社、64年、東京12 チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系)でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。

石橋
 早速ですが、今年の4月から働き方改革関連法が施行されました。中小企業は来年からの適用となりますが、企業は変革を迫られることになります。
田原
 まず、生産性の問題。かつては世界のTOPを走っていた日本の生産性は今世界で28番目ですよ。先進国でこんなに低い国はない。何でこうなってしまったか。日本は政府も企業も何もやってない。
石橋
 企業に関して言えば、経営者が既成の概念に捕らわれてしまって、なかなか改革が進んでいないということなんだと思います。IT化に関しては特にそういった傾向が見られますね。
田原
 そう、AppleやGoogle、Facebookのような企業が日本では出てこない。日本にはアメリカのシリコンバレーのようなものがない。そういうところにも、日本では人工知能(AI)の技術者が育たないという側面がある。
石橋
 そうは言っても、最近は日本の企業も業務の自動化には力を入れ始めている。改革の第一歩として、まず業務情報の可視化は非常に有効な手段だと思います。
田原
 可視化っていうと?
石橋
 一人ひとりの業務をフローチャートにすることで「見える化」するんです。誰が、どんな仕事を、どんなやり方で、どのくらいの時間をかけてやっているのかを、数値で表すことによって、今までやっていた業務のムダに気づき、このムダを省くことによって生産性向上の元を作るんです。
田原
 そういうのは有効な手段かも知れない。
石橋
 私ども可視経営協会は、働き方改革の一環として、会員企業30数社とコラボしながらこの可視化を推進して、生産性を向上させる取り組みを行っているんです。
田原
 うん。でも、それを実行するには経営者の決断が重要になる。以前、松下幸之助さんに「役員にするにはどんな人がいいか」と聞いたことがある。彼は「難しい問題にぶつかった時、それを面白がれるかどうかだ」と言った。僕もそう思う。IT化を進めようとする経営者はそういった資質が求められる。
石橋
 その通りです。働き方改革は経営が進める改革そのものなんです。企業はまず役割を決め責任を、分担を決め権限を明確にする必要があるんです。これは制度の問題。古くからの慣習が邪魔している。
田原
 これまでの企業は、それがちっとも直らない。どんな技術を使っても、経営者の意識が変わらなければどうしようもない。政治家はやる気ないしね。やっぱり一番の問題は日本の経営者。けんかせずに無事に務めるのが一番だと思ってる。ことなかれ主義ですよ、これは。
石橋
 でも、働き方改革法案が施行された今、そうばかりは言っていられない。特に来年から適用対象となる中小企業には死活問題になるんじゃないかと。経営者の意識改革はますます重要になってくる。
田原
 働き方改革は意識の改革というわけだ。

改革の両輪はAI化と社員の多能化。(石橋)

石橋博史 可視経営協会 代表理事

 1962年から24年間、自動車機器メーカーに勤務。86年、株式会社システム科学を設立、代表取締役に就任。2010年、P・F・ドラッカーに認められた「業務プロセス可視化法およびチャート作成システム」で特許を取得。11年3月、一般社団法人可視経営協会を設立、代表理事を務める。著書に『最少人数で最強組織をつくる』(ダイヤモンド社刊)など多数。

田原
 経営者の問題はそういうことだと思うけど、じゃあ社員はどうするのか、会社はどうするのか、というのもある。
石橋
 今の多くの企業には、「社内に共通語がない」という問題があるんですよ。
田原
 あ、それはある。僕の知ってるある有名な自動車メーカーにはそれがなかった。それで今あんなことになってる。今、大きな問題として「過労死」というのがある。これに関してどう考えるか。
石橋
 それに関して言えば、悪い意味でのセクショナリズムがあるからなんです。本部は本部、そっちの部はそっちの部、みたいな。でも、そういう問題も解決する方法はある。それはオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)です。いろいろな職場や職種を経験学習することで、その人の多能性を養うことができ、また、自分が何をしなければならないかが分かる。
田原
 実務と訓練が大事というわけだ。
石橋
 人材を社内で本当に生かし切っているか、適切な人員配置が行われているか。ちょっと話が逸れましたが、OJTがちゃんとなされていれば過労死はもっと少なくなるんです。
田原
 SONYの盛田昭夫さんが言ってた。「企業は付加価値のあるものを作るのが使命だ。マーケットにないものを作るべきだ」と。でも、今はそれがなくなってきた。
石橋
 OJTが徹底していないから情報が偏ってしまう。先ほど言った共通語も生まれないし、そもそも消費者インサイトも生きてこない。だからユニークな商品が生まれない。
田原
 でも、現場がいくらOJTの必要性を訴えても、上が動かないとどうにもならない。やっぱり経営者の問題ということになる。トップが決断しなければダメっていうこと。
石橋
 トップが動かないと企業は動きませんから。基本的に日本の企業はトップダウン。でも、私どもは現場からの改善を上に提案して実施を促すボトムアップ方式の改革も推進しているんです。
田原
 結局困るのは現場だから。今、日本の企業の内部留保が約440兆円あると言われている。そのお金を有効に使って経営革新をやらないとダメだと思う。昔は「危ない事には金を出さない」と言ったけど、今は「危なくならないように金を出す」という発想に切り替えないと。
石橋
 そうそう。考えなくてもいいようなルーティンワークはドンドンとロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)に、素早い判断を要する仕事はAIに任せていく。一方で人はOJTを通して多能化していく。働き方改革の基本はそこだと思いますね。
田原
 それは、その基本をわかっている人がドンドンやらなきゃダメ!
石橋
 私、波風立てるのは好きじゃないんですが、経営革新には波風を立てないとダメだと思っています。
田原
 ドンドン波風立ててください。人に何か言われても、それは全部応援歌だと自分で思えばいいんだから。

【一般社団法人可視経営協会】

 https://kashikeiei.org/

働き方改革を支援する2 大セミナー開催のお知らせ

一般社団法人可視経営協会は、業務の可視化で働き方改革を全面的に支援する活動を行っています。今回、その⼀環として、現場管理者対象の「日経ビジネス課⻑塾・夏講座」(全3 回)と、経営者対象の「HIT.s 法事例セミナー・夏の部」(全1 回)を開催します。さらに、「課⻑塾・冬講座」(全3 回)、「HIT.s 法事例セミナー・冬の部」(全1 回)の開催も決定。皆様のご参加をお待ちしております。詳細・お申込みは協会サイトから。

【NEC ソリューションイノベータ株式会社】

 https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sl/rpa/

RPAの導入に不可欠な「業務プロセスの可視化」

NECソリューションイノベータは、HIT.s を活用したRPA 導入手法を確立しています。業務プロセスの可視化から、AI−OCR、RPA導⼊・定着化、IT化、AI活⽤、⼈とRPA を一元管理する総合管理まで、ステップにあった支援サービスを提供し、働き方改革に貢献するとともに、RPAの導入をゴールとせず、人とロボットが共存する未来の戦略的ITを共に創造します。

【キューアンドエーワークス株式会社】

 https://roboroid.jp/

ムリ・ムダ・ムラ一掃、業務可視化を完全代行

業務効率化や生産性向上、組織の仕組み改革実現には、業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を徹底的に取り除く可視化が必要だが、手間がかかり敬遠されるのが現状だ。このことに着目したキューアンドエーワークスは、業務の可視化を代行する『RoboRoid BASE』を提供している。顧客が行う作業はPC 上での業務録画のみで、面倒な可視化、新業務フロー構築、RPA化などをフルサポートする。遠隔サポートにより全国対応も可能。

(2019/7/1 00:00)

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