(2020/9/16 05:00)
規模の大小を問わず、あらゆる業種でデジタル変革(DX)が進んでいる。今回の新型コロナウイルスの感染拡大によってその勢いはますます加速しているようだ。特に中小の製造業に関しては以前から横たわる少子化や技能承継の問題もあり、一刻も早い対応が急務だ。
そんな中、業務用ソフトウエア開発のテクノア(岐阜市、山崎耕治社長)が展開する製造業向けの「BtoBプラットフォーム 受発注for製造業」が注目を集めている。同社とインフォマートが開発した中小製造業向けのこのプラットフォームは、紙や通信費などのコスト削減だけではなく、バックオフィス(事務管理部門)のデジタル化で生産性を大幅に向上することができる。中小製造業のデジタル化を後押ししそうだ。
中小企業こそDX
「4、5年を過ぎたパソコンが陳腐化するように、来月や1年先を見たような投資では中小企業はとても生き残っていけない」。NISSYO(東京都羽村市)の久保寛一社長がこう語るように、経営環境が大きく変わりつつある今だからこそ、トップの素早い投資判断が極めて重要となる。
同社は電圧を調整するトランスや電源機器の開発メーカー。短納期で高品質な製品の提供を強みにしている。その強みを支えるのは、久保社長が陣頭指揮を執り、全社で取り組むDXだ。
4年前には全社員にタブレット端末『iPad』を配布したほか、1月にはさらなるデジタル化を推し進めるため、テクノアとインフォマートが開発した電子データ交換(EDI)「BtoBプラットフォーム 受発注for製造業」を稼働した。
バックオフィスを自動化、本業にリソースを注力
BtoBプラットフォーム 受発注for製造業は、商談から受発注、請求にいたる商取引を一つの画面で完結できるシステム。これまで電話やファクス送信などで顧客とやりとりしていた業務の効率を劇的に改善できるだけでなく、紙や月々の通信費も削減できるため、導入コストよりも経費削減の効果の方が高くなるという。
BtoBプラットフォーム 受発注for製造業の詳細はコチラ
さらに中小規模の企業でも導入しやすい、安価で始められるのも特長だ。1社がまず導入し、その後サプライヤーへと徐々に広げるような使い方を想定している。取引のたびにアカウントを作成する手間がかからず、簡単にEDIを導入することが出来るのが特徴だ。
NISSYOでは以前より、テクノアの生産管理システム「テックス」シリーズを導入しており、「人につく仕事」を効率化してきた。さらに追加でBtoBプラットフォーム 受発注for製造業を導入したことについて、久保社長は「バックオフィスはなるべく自動化していく。その代わり社員には顧客にもっと向き合ってもらう」ためだと強調する。
すなわち、社員が発注書の発行などバックオフィス業務に時間や労力をとられることなく、本業により一層注力できるということだ。実際、NISSYOではセールスエンジニアが積極的に営業活動に従事するなど、活躍の場が広がった。顧客との接点が増加すればするほど、業績に直結することになる。
また、NISSYOの社員によると紙やファクスのコスト削減だけではなく、「取引先が発注書を確認したかどうかを確認する手間とストレスが省けた」「ファクスやメールで発注書をやりとりする時間が1/4に減らせた」と歓迎する声が相次いだという。
さらにBtoBプラットフォーム 受発注for製造業を導入していたことで、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急ぎ対応したテレワークへもスムーズに移行することができた。工場で製造する以外の業務は在宅勤務を命じたのだ。久保社長は「確かに製造業は現場でのモノづくりが80%だが、それでもテレワークを実施することができる」と喜ぶ。
顧客同士をつなぎ、生産性の向上へ
BtoBプラットフォーム 受発注for製造業は、テクノアとインフォマートとの協業で生まれた。インフォマートでは、もともと食品業界向けにオンライン上で受発注手続きができるシステムを提供していた。この食品業界での知見を活かし、より産業として規模の大きい製造業向けにリリースするため、テクノアと共同で開発する運びになった。
テクノアとしてもメリットは大きい。主力製品のテックスシリーズは顧客ごとに導入をしている。そのため、せっかくテックスシリーズを導入していても、業種の異なる顧客同士では、データのやりとりができないのをもどかしく感じていた。
テクノアの奥田貴光品質管理部部長は「当社は長年、中小製造業の生産性向上を手がけており、そうした経緯もあって受発注の効率化は何としてもやりたかった」と明かす。
BtoBプラットフォーム 受発注for製造業を通してなら、異なる業種であってもテックスシリーズ同士の相互連携ができるようになった。これにより、テクノアは「顧客企業のリソースを本業に集中してもらい、生産性を向上させる」という目標を一層推進していく構えだ。
BtoBプラットフォーム 受発注for製造業の本格提供は3月からだが、滑り出しは順調だ。先述のNISSYOのように、今回のコロナ対応を機に、テレワークに取り組みたいと考える企業からの問い合わせが相次いでいるという。また、取引先からBtoBプラットフォーム 受発注for製造業の利用を勧められた企業からは、「業務が改善されると聞いており、自社でも導入を検討している」という声も寄せられており、口コミでも評判が広がりつつある。
NISSYOの久保社長は、「大企業にデジタル化ができて、中小企業にできないことはない」と言い切る。しかし、現実的には中小企業にとってシステムの導入コストは大きな障壁だ。それでもデジタル化を進め、生産性の向上を実現しなければ、この先も生き残り続けるのは容易ではない。「中小企業でも導入できる価格帯のテクノアの製品は心強い」(久保社長)と、テクノアの製品は中小企業からの厚い信頼を受けている。テクノアは生産性向上のキーマンとして中小製造業のデジタル化を支えていく。
【製品情報】 BtoBプラットフォーム 受発注for製造業
受発注業務のクラウド化で
リアルタイムな状況管理&情報共有
✔ 発注・受注業務のペーパレス化!
✔ 取引内容の誤認識・紛失が防げる
✔ 発注ステータスがすぐにわかる
(2020/9/16 05:00)