求められる次世代技術を次々カタチに/奥野製薬工業【PR】

(2021/1/19 05:00)

総合技術研究所 西棟(大阪市鶴見区)

 スマートフォンなど電子機器の小型、高性能化に伴い、搭載部品の微細化が進む。半導体パッケージのさらなる高密度化が求められる中、新たな表面処理技術がこれを可能にする-。

開発者インタビュー/次世代半導体パッケージに適した無電解銅メッキプロセス

総合技術研究部 第三研究室・北原悠平室長、本間秀和主務

若手の発想力を引き出す研究室/目指すは世界一

総合技術研究部 第六研究室・佃真優さん

開発者インタビュー

総合技術研究部 第三研究室・北原悠平室長、本間秀和主務

 奥野製薬工業はさまざまな表面処理薬品を手がける。12の研究室を持つ総合技術研究所はさまざまな産業分野に革新をもたらす新技術開発の要だ。この第三研究室がこのほど新たな無電解銅メッキプロセス「OPC FLETプロセス」を開発した。開発者2人に、新技術について聞いた。

次世代半導体パッケージに適した無電解銅メッキプロセス

第三研究室 北原悠平室長

――どのような背景から新たなプロセス開発に挑まれましたか。

本間

第5世代通信(5G)や第6世代通信(6G)の普及に伴い、半導体パッケージの高密度化が進み、微細配線化とビア小径化の要求も高くなっています。パッケージ基板の各層を電気的に接続するビアホールは10マイクロメートル単位に小径化していますが、メッキの付き方やビア底の密着性、製品に搭載する際の信頼性の確保が求められます。

北原

ビア底には内層銅、無電解銅メッキ、硫酸銅メッキ皮膜の異なる3種の処理の銅が存在します。このうち膜質の異なる無電解銅メッキ皮膜を境に銅の結晶方位が変化し、この界面が剝離の原因となります。ビアの小径化で接合面積もさらに小さくなる中、接続信頼性確保の要求に応えるため、結晶方位がそろう界面フリーのメッキプロセスの開発に取り組みました。

――新技術は何を実現しましたか。

北原

まず内層銅の表面に残る有機物の問題を解消しました。無電解銅メッキプロセスではメッキを反応させる触媒のパラジウムを均一に付着させるため、コンディショナー(界面活性剤)を使って基材表面の電荷を調整します。内層銅上のコンディショナー由来の余分な有機物は接続信頼性を下げる原因になり、一般的にはソフトエッチングでこれを除去します。しかし内層銅も極薄化する次世代基板では、ソフトエッチング処理の省略が求められ、この一方で有機物残滓(ざんし)による接続信頼性の低下が懸念されていました。

第三研究室 本間秀和主務

本間

そこで非カチオン系コンディショナーを採用しました。水洗性の良い成分を利用することで、内層銅上の有機物を低減することができました。

北原

次に無電解銅メッキの薄膜化を実現しました。無電解銅メッキの膜が厚いと、膜自体の成長方位が優先され、ビア底の結晶の連続性が阻害されて接続信頼性を損ないます。しかし従来のプロセスでは薄膜化によって膜抵抗値が上昇し、メッキのつきまわり性も低下してしまい、対応できませんでした。

本間

これまでは低粗度の樹脂基板に対して無電解銅メッキ皮膜がひずむのを防ぐため、応力調整にニッケルを使っていました。異種金属のニッケル自体が銅の結晶連続性を阻害することになり、薄膜時にはその高い電気抵抗値が課題でした。我々はニッケルを用いない応力調整剤を見いだすことで、課題を克服しました。さらに銅上のメッキ成長を抑えてビア底の内層銅上の析出速度を抑制しました。膜が薄いまま、ビアのつきまわり性を改善したことで薄膜化を達成できました。

――スマートプロセス学会エレクトロニクス生産科学部会などが主催するMate2020シンポジウムで奨励賞を受賞しました。

本間

ビア底におけるメッキの結晶組織に関する新たな視点を発表しました。接続信頼性をテーマとした研究成果を通じ、新たなノウハウを提供した点を評価いただいたのは名誉に感じています。微細化が進むパッケージ基板業界の要求に応える技術を提示できました。

――本格採用に向けた道筋をどう描きますか。

北原

パッケージ基板メーカーをはじめ、自動運転などの高信頼性が要求される車載基板メーカーなど、引き合いは増加しています。現在は顧客の生産ラインで評価段階にあり、半年後には本格採用。1年後の拡販を目指しています。今後も多くの実績を積み上げたいと思っています。

本間

パッケージ基板の業界は実績が重要です。使用中の薬品を変えるのには製品の信頼性の検証が欠かせません。検証には時間がかかるため、量産への移行はとても時間がかかります。ユーザーの厳しい要求に応えられる技術を引き続きアピールしていきたいと考えています。

――第三研究室はどんな部署ですか。

北原

プリント配線板に用いられるさまざまな絶縁樹脂素材に対応した無電解メッキ薬品を開発しています。研究開発職でありながらも、基板メーカーをはじめユーザーと接する機会が多く、実際にラインの立ち上げや製品開発を共にしています。近年は海外に拠点を持つメーカーが増え、中国や台湾、韓国にもユーザーは広がっています。研究室には5人が所属し、和気あいあい、コミュニケーションを取りながら先端技術の開発に取り組んでいます。

Mate2020シンポジウムで奨励賞を受賞した。

新技術・深掘り

ビア接続におけるメッキの新視点

自動運転、6G向けの高接続信頼性を実現

 奥野製薬工業の新たな無電解銅メッキプロセス「OPC FLETプロセス」は、ビアホールの内層銅と無電解銅メッキ、硫酸銅メッキ皮膜間の結晶方位をそろえる“結晶連続性”を実現でき、電気的・物理的に高い接続信頼性が得られる。

 無電解銅メッキプロセスは絶縁樹脂上にメッキ触媒のパラジウムを均一に吸着させるため、コンディショナーを用いて電荷を調整する。これに由来する有機物がビアホールの内層銅上に残っていると、内層銅と無電解銅メッキ皮膜間の結晶連続性が阻害される。

 OPC FLETプロセスは銅上への吸着性がある一般的なカチオン(陽イオン)系コンディショナーに変えて、均一に電荷調整できる非カチオン系コンディショナーを採用。有機物残滓(ざんし)を低減した。

 加えて無電解銅メッキ皮膜は膜厚が増すと皮膜自体の成長方向が優先されるようになり、無電解銅めっき皮膜を境界として結晶方位が変化する。結晶連続性を得るためには“薄膜化”が重要。しかし従来プロセスでは薄膜化による膜抵抗の上昇とメッキつきまわり性の低下で対応できなかった。

 OPC FLETプロセスは応力調整剤として電気抵抗の高いニッケル以外の添加剤を用いることで膜抵抗の上昇を改善。銅上のメッキ成長も抑え、薄膜を維持しながらビアホールに対するメッキの高いつきまわり性を実現した。さらに薄膜化によって配線形成時の配線の細りも大幅に低減できるため、微細配線形成にも適したプロセスとなった。

微細配線対応無電解銅メッキ

若手の発想力を引き出す研究室

総合技術研究部 第六研究室・佃真優さん

目指すは世界一

第六研究室 佃真優さん

 第六研究室は他の研究室と異なり、表面処理の基礎研究に特化する。若手の自由で柔軟な発想力を成果に結びつける。上司のきめ細かいフォローにより研究に道筋を付け、新たな手法に挑戦できる環境をつくる。開発者が製品名を自由に付けられるというユニークな仕掛けも設けながら、研究員の意欲を高めている。

 「女性の先輩をはじめ社員の方々が生き生きと話している姿が印象的でした」と振り返るのは、第六研究室の佃真優さん。プリント基板に用いられるガラス素材へのメッキプロセスを研究している。「研究棟が明るく、開けた環境で仕事をしやすい雰囲気だったことが入社の決め手になりました」と語る。

 「入社当初は、材料を薬品に浸すと金属が出てくる光景がとても新鮮でした」と佃さん。大学院で専攻していた食品と分野は変わったが、日々上司や先輩からのサポートを受けながら新たな知見を得ている。近年は研究員の学会やセミナーへの出席も活発で、研究成果を発表する機会もあり、佃さんをはじめ若手も大いに刺激を受けている。

 第5世代通信(5G)やその先を見据えた通信技術の進化は目まぐるしく、電子部品の性能を左右するメッキ技術には熱い視線が注がれる。佃さんは「アイデアを試作につなげて、製品化まで持って行く」と抱負を語る。「目指すは世界一。奥野製薬工業の一員として貢献したい」と目を輝かせる。

夢の実現に向け日々研鑽を積む佃さん

奥野製薬工業株式会社

〒541-0045 大阪市中央区道修町4丁目7番10号

TEL:(06)6203-0721

FAX:(06)6203-4332

https://www.okuno.co.jp/

【記事に関するお問い合わせ】

総合技術研究所 企画開発部

〒538-0044 大阪市鶴見区放出東1丁目10番25号

TEL:(06)6961-0886

FAX:(06)6963-0740

(2021/1/19 05:00)

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