INCHEM TOKYO 2023 ―速報会場レポート― 最新化学製造技術一堂に【PR】

(2023/9/21 16:00)

 9月20日から23日まで、東京・有明の東京ビッグサイトで2年ぶりに開かれた展示会「INCHEM TOKYO2023」。化学製造プロセスを中心に、素材技術やエンジニアリング技術などが一堂に会し、3日間で1万1402人が来場した(主催=日本能率協会)。特にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成のための環境負荷低減に資する技術や製品、効率化に貢献するデジタル技術に注目が集まった。オンライン展示会は10月4日の17時まで開催。

(※以下文章は、9月21日の公開記事です)

INCHEM TOKYO 2023

特別ステージでカーボンニュートラルへの取り組みアピール

  • 特別ステージでのプレゼン

 主催者が力を入れる特別企画「INCHEMから世界をこう変える~カーボンニュートラル&DX~」では、主要10社が特別ステージで最新技術やDXについての展示やプレゼンテーションを実施した。プレゼンは特に多くの人でにぎわい、聞き入る姿が並んだ。

 各社が展示で重要視し発信していたのは、カーボンニュートラル対応だ。

 三井化学は大阪工場(大阪府高石市)のカーボンニュートラル構想などを紹介。バイオマスナフサや廃プラスチックを原料とした熱分解油(廃プラ分解油)を活用したサステナブル原料への転換を推進する。バイオマス由来の化学製品の拡大には持続可能な製品の国際認証制度「ISCC PLUS認証」の取得を進め、製品の一部に対してバイオマス原料由来の特性を割り当てるマスバランス方式での提供が重要とみる。丸山大輔グリーンケミカル事業推進室長は「お客さまにも同認証の取得を促し、マスバランス方式の有効性をいかに訴求するかだ」と捉える。

ケミカルリサイクル技術などが活発化

  • 住友化学は開発したCO2吸着材などを出展

 住友化学は「個別の課題に応じたソリューションを紹介する」(生産技術部の白岩淳二部長)と力を込める。土中の水分・養分の吸収を促す「菌根菌(きんこんきん)」の活用では肥料の一部を菌根菌にすることで土壌保全につなげられる。将来的には植物の二酸化炭素(CO2)を菌根菌が吸収して土中に貯留する仕組みの開発も視野に入れている。アクリル樹脂のケミカルリサイクルなどの取り組みなども活発化している。独自のカーボンフットプリント(CFP)算定システム「CFP―TOMO」や、触媒技術を活用したCO2吸着材なども注目を集めていた。

  • IHIはアンモニアバリューチェーンを紹介

 レゾナックは川崎事業所(川崎市川崎区)で使用済みプラをアンモニアや水素にリサイクルする取り組みを推進する。原料は現在、使用済みプラ由来と化石燃料由来(都市ガス)が約半分ずつだが2030年までに全量を使用済みプラにする目標だ。調達では伊藤忠商事との連携なども生かす。基礎化学品事業部の山口立太化成品部長は「地域での仕組み作りや認知度向上などに取り組んでいきたい」と意気込む。

 次世代のクリーンエネルギーとして期待がかかるアンモニアの製造・輸送・利用までの一連工程を紹介しているのがIHI。「2010年代から着目し、技術開発に取り組み、燃焼など個別技術の発表はしてきたが、再エネ由来で製造するところからの一連を集めた紹介は初めて」(水野智夫技術開発本部フェロー・技監)とし、アンモニアのバリューチェーンの早期構築をアピールする。会場内では「化学工業関係者や需要家側とディスカッションしながらアンモニア活用市場を盛り上げていきたい」(水野フェロー)と力が入る。また同社では、東北大学などと産学連携でアンモニア利用の規格・基準整備にも取り組んでいるという。

DXで効率化が加速

  • デジタルツインでプラントを3次元で再現

 一方、DXも注目の分野だ。千代田化工建設は9月から提供をはじめたプラントオーナー向けのO&M(運用・保守)トータル支援サービス「プラントOS」を紹介。現場でのフィジカルサポートと、分析やIoT、クラウドなどのデジタル技術を融合し体系化した。人手不足や設備の老朽化、技術継承など現場の課題をまるごと支援する姿勢を明確化している。 

 同事業を主導する米山徹O&M―Xソリューション事業部企画・開発セクションSLは、「人に関わる安全・安心、ノウハウや知識、装置や空間の安全・安心を確保し、社会変化に柔軟に対応できるビジネス・セイフティーの提供が本サービスの根幹」と強調する。ブースでは、米ビジョナイズ(カリフォルニア州)のデジタルツイン技術でプラントを3次元で再現したO&Mサービスの体感ができる技術などに注目が集まった。

  • 三菱ケミカルグループはデジタルケミカルカンパニーに向けたDX戦略を推進

 三菱ケミカルグループは「One Company,One Team(ワンカンパニー、ワンチーム)」の実現に向けて、変革するためのデジタルビジネスアジリティ(敏しょう性)を持つ組織「デジタルケミカルカンパニー」を目指す。そのため全従業員約7万人について、意欲を持ってデジタル技術を生かせる「スマート人材」に育成する考えだ。

 具体的な方策として、九州事業所(福岡県北九州市)で11月稼働の乳化剤の新工場について、26年頃に主力拠点の三重事業所(三重県四日市市)からリモート運転する計画。三重事業所の高い製造技術やノウハウを他プラントでも活用できるようにする。共同物流についても効率化に向けてデジタル技術の活用に力を入れる。佐野吉邦デジタルストラテジテックプランニング本部長は「(デジタル技術で)リサイクルといった取り組みでも事業部と密に話しながら一緒に取り組みたい」と環境負荷低減にも貢献できるとみる。

他ゾーンでも脱炭素技術・製品が注目

  • 「シン・インケム ベンチャー&アカデミア」ゾーン

 化学工業関連のベンチャーや大学・研究機関の20社・団体が集う「シン・インケム ベンチャー&アカデミア」は今回、新設されたゾーン。東北大発ベンチャーで、未利用バイオマス資源活用のための「イオン交換樹脂法」による製造基盤技術を持つファイトケミカルプロダクツ(仙台市青葉区)などが最新の事業発表を行った。

 同社は米油製造時の廃棄素材から機能性素材や燃料を作る技術の開発を手がける。今月、横河ソリューションサービス(東京都武蔵野市)と提携し、未利用油の分離・回収工程の自動化含めた生産プロセスの開発に乗り出す。加藤牧子CEOは「当社技術は汎用性が高いのが特徴。化学や食品など国内外への技術提供を見据えて開拓していきたい」と語った。

  • 旭化成の液液分離フィルターカートリッジ

 一般ゾーンでは旭化成の液晶パネルの部品洗浄など向け液液分離フィルター「ユーテック」や、電子材料や塗料の微粒子除去などに使う固液分離フィルター「ユーテックナノ」などを紹介。洗浄液をより長く使えるなど環境負担軽減に貢献できるとみる。金属など幅広い抽出・分離向けでは静置分離が不要な新たなシステムの開発に取り組む考えだ。

(2023/9/21 16:00)

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