(2024/4/12 12:00)
ニューヨーク金先物相場は急伸。日本時間12日午前10時3分現在、中心限月の6月きりは1オンス=2401ドル近辺と、11日の清算値(2372.70ドル)を大幅に上回る史上最高値水準での出合いとなっている。市場では、週末を前に地政学リスクへの警戒感から買いが入ったとの見方が出ている。
11日発表された3月の米卸売物価指数(PPI)は、市場予想を下回るやや弱い内容。前日発表の3月米消費者物価指数(CPI)が強い内容だったことで市場に広がった連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期後ずれ観測が後退し、金相場を買い戻す動きにつながった。
とはいえ、この日の米長期金利は上昇しており、米金融当局者からも利下げに消極的な発言が相次いだ。ボストン連銀のコリンズ総裁が年内に想定される金融緩和が減じる可能性を示唆したほか、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も、2%のインフレ目標達成の道のりは「平たんではない」との認識を示した。単純に米利下げ問題だけでは片付けられない上昇が、NY市場の終盤からアジア時間にかけて続いている。
市場では、イスラム教のラマダン(断食月)が明けた今、在シリアのイラン大使館を1日に攻撃したイスラエルに対し、イランがどう動くかが注目されている。MOGマーケッツの齋藤和彦代表は「市場で取引できなくなる土、日にイランが報復に動くシナリオに備えた買いが、また新たな買いを呼んでいるのだろう」と分析。半面、「過去の有事の金相場は『うわさで買い、事実で売り』となったケースが多い。今回も実際に報復が始まると急反落するリスクがある」と注意を促している。
(2024/4/12 12:00)