[ 機械 ]
(2017/5/4 05:00)
新領域技術研究所(千葉県柏市、武田常広社長、04・7134・5913)は、極低温下でも確実に作動するソレノイドバルブ(電磁弁)「UEV」を開発した。4ケルビン(マイナス269度C)の液体ヘリウムに対応し、1秒当たり10のマイナス7乗(1000万分の1)パスカル立方メートル以下の漏れ(リーク)性能で制御する。自社製品の冷却用液体ヘリウム循環装置に採用するほか、産業分野で幅広く需要創出を狙う。
冷却用液体ヘリウム循環装置は、医療用の脳磁計(MEG)や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)で超電導状態を発現させるためのヘリウムを回収・再利用する。新領域技術研究所の独自製品で、超電導の物性試験装置にも使われる。
従来、同装置の流体制御はセラミックス製ボールをガス吸引により受動的に閉じる逆止め弁方式だったが、リーク性能は1秒当たり10のマイナス3乗(1000分の1)パスカル立方メートルが限界。これが「空気の混入による流路閉塞(へいそく)などトラブルの原因になっていた」(武田社長)という。
逆止め弁に代替するUEVは低温でも特性を保つ特殊合金バネと永久磁石を組み合わせ、熱影響のない瞬間的なパルス入力で開閉状態を自己保持する。主要部材はステンレスで、弁座(流路孔)部分がエンジニアリングプラスチック製。
ヘリウムの最大用途である半導体・液晶製造装置、光ファイバー生産関係のほか「液体水素・酸素・窒素、液化天然ガス(LNG)などを扱う各種装置・プラントに適用できる」(武田社長)とみている。
最大流量が毎分50ノルマルリットル、同200ノルマルリットルの2タイプを設定。「サンプル価格は仕様により50万円程度から」(同)になる。
(2017/5/4 05:00)