インタビュー/テクノア社長・山﨑耕治氏 なりたい会社への変革をITで支援【PR】

(2022/10/14 11:00)

中小製造業のデジタル化に特化

 デジタル変革(DX)という言葉が産業界に浸透し、関連のツールやシステムを導入する企業も増えた。一方、DXの意味は受け取り方がさまざまで各企業の取り組みも千差万別だ。テクノア(岐阜市)は多品種少量生産の中小製造業にターゲットを絞った生産管理ソフトウエア「TECHS」を主力とし、同分野では2016-21年度に6年連続で国内シェア首位を誇る。同社が提案するDXについて山﨑耕治社長に尋ねた。

―TECHSが好調です。

 「設備・装置製造向けの『TECHS-S』と部品加工向けの『TECHS-BK』がある。1994年以来、累計で4200本以上を出荷した。『6年連続』は、第三者の客観的な調査が以前は中断したため。実際はもっと長期間、トップシェアだと自負している」

―人気の理由は。

 「ソフトウエアは開発費が大きい。売るためだけなら企業規模や業種を問わず使える製品を考える。しかし当社の目的はITでお客さまの役に立つこと。広い間口では対応できず、多品種少量や一品物の設備・装置製造や部品加工に事業分野を絞り込んだ。そこで特有の課題を理解し、独自の知見が蓄積し、最適な深掘りしたシステムが開発できた。オーダーメードが主流の時代からパッケージに徹し低価格で提供した」

―サポートへの評価も高いとか。

 「改造やサポートを販売会社に任せるソフト開発会社は多い。しかし当社は一気通貫で価値を届けたい。しかも会計用などと異なり、製造関連ソフトの使い方は100社100様。経営下手かもしれないが多くの社員を抱え、魂を持った社員が直接営業に行き、直接サポートし、直接フォローしている。サポートセンターへの評価も高い。昨年1年だけで約300件のお喜びの声をいただいた」

―近年は生産管理以外にも多様なシステムを投入しています。

 「生産管理以外にも中小製造業の新たな課題やニーズが見えてきた。人工知能(AI)を搭載したIoT(モノのインターネット)用カメラ『A-Eye(エーアイ)カメラ』は現場改善の情報収集ツールとして好評。『BtoBプラットフォーム 受発注 for 製造業』は導入先で調達業務の所要時間を圧倒的に削減した。22年に発売した『AI類似図面検索』は過去に対応した類似図面を素早く検索でき、データの照合で過去より安い見積もりを出してしまうミスも防げ、引き合いが非常に多い」

―デジタル変革(DX)という言葉が社会に広がりました。

 「言葉が先走っているように思う。日本の生産性の低さはITの遅れと言われ、ITの普及率は高まった。しかし十分に利活用されているかは疑問。DXは目的ではなく道具。まず『こんな会社になりたい』という目指す姿があるべきだ。そしてデジタルツールで現状との差を認識しつつ理想に向かう。その過程が会社のトランスフォーメーション(変革)だ。実際、多くのお客さまが経営賞を受賞している。例えば中小企業庁の『はばたく中小企業・小規模事業者300社』に、直近6年で約80社のお客さまが選ばれた」

―中小企業が独自に将来像を描き、組織風土も変えていくことは簡単ではありません。

 「経営への伴走支援ができる人材が必要だ。当社には中小企業診断士が8人、ITコーディネーターが58人いる。20年には経営課題を抽出し解決を支援するサービス『IT経営プロジェクト』も始めた。当社の中小企業診断士が財務分析をして新たな経営目標を設定。実現に向けITツール活用に加え、組織改革や新たな会議の運営も提案する。当社が指導を終えても、ITツールを活用しながらお客さまが自走で変革を続けられる仕組みまで作る。短期間に利益が3倍になったお客さまもある」

―9月にTECHSのクラウド版「TECHS-S NOA(テックス・エス・ノア)」も提供を始めました。

 「中小・零細企業はサーバやネットワークを管理できる人材が乏しく、高額の初期投資もしにくい。NOAはサーバ等の管理が不要で、初期費用が30万円(消費税抜き)から、1アカウント当たり月額料金が5万円(同)からで利用できる。SaaS(サービスとしてのソフトウエア)により、より小規模の製造業に生産管理システムを普及させたい。多様なシステムやサービス、ソリューションの提供で日本の中小製造業の価値を総合的に高めていく」

  • 「TECHS-S NOA」は安価で簡単に生産管理をシステム化できる(表示は受注別原価グラフ)

【記者の目/人材育成でコンサル機能強化】

 山﨑社長は「本物が生き残る時代。売って終わりじゃない」と強調する。27年度までに中小企業診断士を20人にするなど経営を支援できる人材の育成も急ぐ。経営コンサルタントの機能を強化し、中小製造業の経営自体を変革させる会社を目指す。IT企業自身の変革事例として今後が楽しみだ。(編集委員・村国哲也)

(2022/10/14 11:00)

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