(2023/8/29 05:00)
人がいる場所で働くロボットは柔らかい方が安心―。この考えのもと、ロボット向けの柔らかい外装の製造・販売を手がけているのが三重ロボット外装技術研究所(三重県四日市市、森大介社長)だ。
開発した衝撃吸収型接触検知外装カバー「YaWaRaKaロボD」は軟質発泡ウレタン製。ロボットが人や物と接触した際の衝撃を吸収するとともに、独自のセンシング機能によって接触した情報を検知し、ロボットを停止させる。シンプルな構造ながら、あらゆる現場やシーンでロボットの安全性や制御性などを高められる。この点が評価され、村田機械と日本シューター(東京都千代田区)が開発した病院向けロボット台車搬送システム「MoCS(モックス)」などに採用されている。
また、デンマークのユニバーサルロボット(UR)製協働ロボット専用の衝撃吸収型接触検知センサー付きセーフティーカバー「MIONER(ミオナー)」も開発した。商社の太田廣(名古屋市中川区)を通じて販売している。
URの「eシリーズ」3種類に対応し、最も可動領域の大きい肘関節部に付けて使う。YaWaRaKaロボDの技術を応用しており、これもセンサー付きカバーが衝撃を吸収しつつ接触を検知。ロボットを素早く安全に停止させられる。面ファスナーで簡単に固定でき、取り付けに特殊な工具は不要だ。
森社長は「柔らかいロボット外装の標準を打ち立てる」と標準化にも積極的。その取り組みが実を結び、YaWaRaKaロボDの性能試験方法が「JIS B8451―1」として日本産業規格(JIS)化された。物や人が接触してから停止信号が出されるまでの時間と、接触した際の衝撃を測定する方法を規定した。
森社長は「これをベースに国際標準化機構(ISO)の規格化にも挑戦する。世界に先駆けた規格制定で、日本のロボット産業の国際競争力強化に貢献したい」と意気込む。
(2023/8/29 05:00)