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移植時に高い治癒効果が期待される血管構造を持つ細胞凝集塊を作製

(2020/11/9)

カテゴリ:商品サービス

リリース発行企業:株式会社日本触媒

移植時に高い治癒効果が期待される血管構造を持つ細胞凝集塊を作製


株式会社日本触媒(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:五嶋祐治朗)は、開発した3次元細胞培養容器「ミコセル(R)」を用いた細胞培養において表面に血管末端構造を保有した血管構造を含む細胞凝集塊の形成に成功しました。この血管構造を含む細胞凝集塊は、その形態から再生医療の移植などで、従来の細胞凝集塊より優れた治療効果を発揮することが期待されます。
ミコセルとは、日本触媒が独自技術により開発した3次元細胞培養容器で、細胞の基材への適度な接着性があるため、生体内での状態により近い細胞凝集塊を均一な粒子径で多量に作製できることを特徴としています(写真1)。


写真1:容器例
近年、細胞を3次元培養することで、様々な形態の細胞凝集塊を形成することが注目されています。その一つとして、細胞凝集塊内部への酸素や栄養の供給を目的に目的組織の細胞と血管内皮細胞を共培養して、血管構造が付与された細胞凝集塊形態の形成が提案されています。この形態は、血管構造が付与されたことで、治療で移植するときに患者由来の血管と接続し細胞凝集塊の生着率が上がり、治療効果の向上が期待されます。しかし、従来の血管構造を有する細胞凝集塊は、細胞凝集塊内部で血管構造がランダムに形成されており、血管構造の方向性の制御や細胞凝集塊表面への血管構造の末端形成が困難であり、移植後の生着と治療効果に課題がありました。
この度日本触媒は、ミコセルを用いて幹細胞と血管内皮細胞を共培養して作製した細胞凝集塊で、基材に接着した部分に血管内皮細胞も接着し、そこから細胞凝集塊の垂直方向に複数の血管構造がドーム状に形成されることを見出しました(図1、写真2-4)。この構造は従来の細胞凝集塊では見られておらず、基材接着面に血管内皮細胞が存在することで移植時に速やかに患者由来の血管と接続して高い治療効果が得られることが期待されます。また、当該構造を有する細胞凝集塊は血管構造を持たない細胞凝集塊に比べて内部の低酸素状態が改善されることが分かりました(図2)。
図1:ミコセル上の血管含有細胞凝集塊の特徴
写真2:上面から見た血管構造
写真3:側面から見た血管構造
写真4:底面から見た血管構造画像(青色は細胞核)


図2:細胞凝集塊中の低酸素状態 (数値がより大きいほうが低酸素状態)

ミコセルで作製した血管構造が付与された細胞凝集塊は、再生医療分野への応用の他、より生体内に近い凝集塊を実験室レベルで作製できるという観点から、臓器モデルの作製や創薬スクリーニング等における動物実験代替の試験への応用が期待されます。日本触媒では、今回新たに作製した血管構造を含む細胞凝集塊をはじめ様々な分野にミコセルを供給し、連携を進めることで、医療技術の発展に貢献することを目指します。
今回の研究成果は、2020年9月9日にAdvanced Biosystems誌に掲載されました。(doi: 10.1002/adbi.202000120)


用語の説明

・再生医療
怪我や病気で臓器や組織が本来有する機能が失われたとき、細胞や人工的な材料を利用して失われた機能の再生をはかる医療を指す。

・幹細胞
自己複製能力と様々な細胞に分化する能力を併せ持つ細胞を指す。体内にも存在しているが、特に脂肪由来の幹細胞は採取がしやすく、増殖及び分化能力が高いために再生医療分野での利用が期待されている。

・細胞凝集塊(スフェロイド)
細胞同士が3次元的に凝集して塊状になったものを指す。従来の2次元細胞に比べて、体内での状態に近い細胞挙動を示すことが明らかとなってきており、再生医療や創薬分野での応用が期待されている。


日本触媒について:
1941年の創業以来、自社開発の触媒技術を核に事業を拡大。酸化エチレンやアクリル酸、自動車用・工業用触媒などを世の中に送り出し、現在では紙おむつに使われる高吸水性樹脂でトップクラスのシェアを誇っています。日本触媒は「テクノロジー(技術)」を通じて「アメニティ(豊かさ)」を提供する、という企業理念「TechnoAmenity」のもと、グローバルに活動する化学会社です。
https://www.shokubai.co.jp

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