台湾風力発電産業サプライチェーンの現状＜ワイズ機械業界ジャーナル2021年5月第2週号発行＞

～台湾機械業界の動向が分かる～

ワイズコンサルティング グループ（本社：中華民国台北市、代表取締役：吉本康志）は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の５月第２週号を発行しました。今週号では、機械設備業界、風力発電業界、ＣＮＣ工作機械メーカーのＡＷＥＡ、工作機械輸出入速報について紹介します。



＜210513号内容＞



●今週号の記事を一部紹介します。
＜台湾風力発電産業サプライチェーンの現状＞


スマート工作機械設備の導入割合が低いため、台湾風力発電産業サプライヤーのスマート製造の推進は遅れている


　風力発電機は大型金属部品より構成され、加工過程は複数の工作機械を利用している。台湾の工作機械産業製品は高品質、多機能とカスタマイズ需要の対応力が高いことから、中国風力発電機部品メーカーに高い評価を受けた。中国陸上風力発電産業の急成長と伴い、台湾の工作機械産業の輸出額が大きく伸びた。

　台湾工作機械産業の風力発電機向け製品は、中国陸上風力発電市場の成長と伴い、小型部品から中・大型部品の加工と徐々に対応できるようになっているものの、台湾の洋上風力発電の開発は最初から超大型風力発電機の導入を計画しているため、関連需要は台湾工作機械メーカーへの好材料にならなかった。

　一方で、台湾の工作機械製品のスマート化の推進は遅れており、工作機械設備のセンサー機能を許可し、生産データの収集、データ分析と関連応用の技術を発展することによって、製品付加価値の強化することは今後の課題となる。同時に台湾風力発電産業サプライヤーのスマート製造の推進への支援となる。






洋上風力発電の建設需要で海底電線の需要は増加したが、台湾の主要電線・ケーブルメーカーは技術不足のため、関連製品の研究開発を進んでいない


　世界的に風力発電市場の好調を受けて、電線・ケーブルの関連需要は増加したことから、主要メーカーは製品の研究開発に力を入れた。海外では、フランスのNexans社は自動車、造船と通信用ケーブル事業を売却し、洋上風力発電用の海底電線業務に集中する方針だ。また、中国では海洋送電工事技術実験室を設立し、中国電線・ケーブルメーカーの陸上・海底電線システムの研究開発をサポートする計画だ。

　台湾の主要電線・ケーブルメーカーの大亜電線電纜（TAYAグループ）、華新麗華（ウォルシン・リーワ）は洋上風力発電向けの海底電線の参入を検討したものの、技術不足と海岸部の工場用地の確保が困難のため、海底電線製品の開発を断念した。大亜電線電纜は太陽光発電向けの電線製品に力を入れ、華新麗華は洋上風力発電機のタワー部向けの電線製品を海外の風力発電機大手と風力発電所開発業者に提供している。また、洋上風力発電機溶接の向けの電線製品のコネクターの生産は時間と労働力を掛かるため、華新麗華は適切な自動化生産ソリューションの導入に力を入れている。



海外メーカーの前例を参考し、先進技術を導入して生産効率の向上を狙う


　風力発電機用の海中基礎構造物の部品について、2021年以降に竣工された台湾洋上風力発電所は国産部品の採用比率が定められた。とくに海中基礎構造物に定められた採用比率は高いため、洋上風力発電所開発業者からの受注は安定しており、台湾メーカーは量産体制を整えつつある。

　海外の風力発電機部品メーカーの多くは、生産効率を高めるため、先進技術を導入している。例えば、デンマークのWELCON社はInrotech A/S社の自動化溶接設備を導入しており、加工部品を３Ｄスキャンすることで、溶接シーム、パラメーターを算出し、自動溶接加工を行う。これによって、溶接加工の品質を高めただけではなく、作業効率は人工の４倍となる。
　こういった先進技術の導入例は、台湾風力発電産業サプライヤーの生産効率向上の参考となる。


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