天つりロボットが空間を有効活用 メイキコウ

(2024/5/1 12:00)

搬送機器技術、自社に応用

  • 天つりロボットが工作機械へのワークの脱着・搬送をする生産ライン

新東工業の子会社でマテハン機器の製造販売を手がけるメイキコウ(愛知県豊明市、保賀誠一郎社長)は、昇降装置やコンベヤーといった一連の搬送関連の製品を取りそろえる。足元は物流業界で運転手不足が懸念される「2024年問題」によって、トラックヤード(荷物の積み替え場)周辺の省力化需要が伸び、同社の関連製品の受注も好調だ。その本社工場を訪ねると、製品づくりで培ったモノを運ぶ技を駆使した自動化ラインを構築していた。

昇降装置などに用いる油圧シリンダーの部品を作るために工作機械を並べた生産ライン。ここでは、天井から逆さづりになったアームロボットが機械間をせわしなく動き、旋盤への加工対象物(ワーク)の脱着をこなしていた。

通常の床にロボットを置く方法では「ロボットが止まった時に作業の邪魔になる」(保賀社長)と考え、天井に設置したレール間を移動させる「天つりロボット」を考えたという。この仕掛けはロボット本体以外の設計から製作、制御に至るまで「全部を当社が設計し、全部を当社が作った」と保賀社長は胸を張る。

メイキコウはロボットシステムインテグレーター(SIer)として、パレタイジングロボットシステムの設計・製作を請け負っている。その技術をもってすれば、生産ラインの搬送装置を内製するのはお手の物。天つりロボットも九州佐賀国際空港(佐賀市)に納入した「手荷物自動積み付けロボット」の技術を応用している。同システムは航空機の乗客がチェックインカウンターで預けた手荷物のキャリーケースを、天井からつり下げたロボットが自動で荷車(バルクカート)に積み付けるもので、同社が全日本空輸(ANA)と共同開発した。

  • 2024年問題への対応でコンベヤーの製造も盛ん

別の生産ラインでは、トラックヤード向けのコンベヤーの組み立てをしていた。

メイキコウは2024年問題を見据え、「トラックヤードの自動化や時間短縮が絶対に必要になる」(保賀社長)との見通しのもと5年ほど前からヤード周辺の自動化・省力化の機器の販売を本格化。その狙い通り、24年を迎えた今は、ヤードで荷物を搬送するためのコンベヤーや、トラックの荷台の高さに合わせて油圧でテーブルを上げるシザーリフトなどの製品が好調だ。

その旺盛な需要を捉えようと、自らの製品づくりのノウハウも息づく生産ラインによって、2024年問題の解消に寄与する製品づくりを進めている。

(2024/5/1 12:00)

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