[ オピニオン ]
(2016/4/22 05:00)
農林水産省が、飛行ロボット(ドローン)を想定した無人航空機利用技術指導指針を策定した。無人ヘリコプターより低空を飛行できる上に、コストも安い。中山間地や飛び地の多いわが国の農業実態に適している。適切な利用と普及で、農業の生産性向上や作物の高付加価値化に貢献してもらいたい。
農業機械としてドローンの用途は、種まきや農薬散布、作物の生育状況監視など。またカラスなどの害鳥・害獣を追い払うことや、災害時の施設状況確認も可能だ。林業や漁業なら他の利用法も考えられる。
現在、こうした用途は無人ヘリが担っている。ただ導入には1000万円を超す費用がかかるのが普通で、大半の農家は手が出ないという。農業用ドローンなら機体価格は200万−300万円。リースを活用すれば、さらにハードルが下がる。
農水省は、農産物の生産性向上のため水田を中心に大規模・集積化を進めている。ただ田畑が続いていない地形上のネックや、所有者不明農地や耕作放棄地の増加などから、北海道のような一部地域を除くと思うように進んでいない。
飛び地状の農地や小規模農地では、無人ヘリを無理に導入しても宝の持ち腐れに終わる懸念が大きい。中小規模の水田5カ所に農薬散布するような作業は小回りのきくドローンの方が得意。住宅地に近ければ、農薬が風に吹かれて拡散する懸念を考慮しなければならない。周辺の無農薬栽培の畑に影響が出ないようにする必要もある。同じ畑でも複数作物を並行して育てている場合が多く、キメ細かな作業が求められる。
また果樹園や山林の農薬散布では、ヘリでまいても葉にかかるだけで効果が乏しい。ドローンを使ってピンポイントで散布する方が薬剤使用量を節約できる。同時にヘリより低空に降りられる利点を生かし、高精度で作物の生育監視をすれば、さらに生産性が高まろう。
ドローンの農業利用は多くの可能性を秘める。飛行安全の確保や操縦訓練に努めつつ、市場の拡大に挑んでほしい。
(2016/4/22 05:00)
関連リンク
総合4のニュース一覧
- 小売り3業態の3月売上高、マイナス−気温低下で春物不振(16/04/22)
- オフィスビル供給25%増-昨年の東京23区、109万平方mに(16/04/22)
- 社説/ドローンの農業利用−日本の狭い田畑に適した手法だ(16/04/22)
- アジアの見えないリスク(18)「グレー」は本当にグレーか(16/04/22)
- セブン―イレブン・ジャパン、映像で被災状況把握-店舗向けに提供(16/04/22)
- 国交省・環境省、排ガス試験に路上走行検査の導入を提言(16/04/22)
- [ビジネスインドネシア]重機生産が低迷(16/01/22)
- [ビジネスインドネシア]バタム島の都市ガス拡充、5月に完成(16/04/22)