[ 化学・金属・繊維 ]

神鋼、原発廃炉に本格参入−減容や金属リサイクルを受託

(2016/9/1 05:00)

  • 福島第一原発の1号機建屋カバー屋根パネルの取り外し(東電)

神戸製鋼所が原子力発電所の廃炉ビジネスへ本格参入する。廃炉作業で発生する低レベル放射性廃棄物を対象に焼却・切断による減容や金属リサイクルなどに取り組む。このため、7月に放射性廃棄物処理大手のスウェーデンのスタズビック(ニショピン市)と合弁でコベルコスタズビック(東京都品川区、森崎計人社長)を設立、同社を主体に電力会社への提案活動を始めた。これまでの原子力関連事業の実績も生かし、廃炉ビジネスで先行を狙う。

福島第一原発をはじめ、関西電力の美浜発電所1・2号機など相次ぎ廃炉が決定。今後の解体作業で大量の廃棄物が発生する。商用原子炉57基の合計は約2000万トンで、このうち神鋼がターゲットとする低レベル放射性廃棄物は約45万トンだ。これらは地下に埋設処分される計画だが、「まだ処分場が決まっていないので、廃炉作業がスムーズに進まない。この量を我々が減らす」(森本康裕エンジニアリング事業部門原子力室次長)ことが主眼となる。

金属リサイクルはスタズビックの技術を導入。スウェーデンでは海外の原発から汚染された機器を受け入れて解体・除染し、金属は再生。取り除いた放射性物質は元の原発に返還する事業を展開中。今後は日本からも同様の枠組みで受け入れる。廃樹脂など難燃物の処理もスタズビックの熱分解技術を活用する。700度Cの水蒸気で分解して放射性物質を灰の中に閉じ込め、安定化する。これにより「廃棄物を5分の1から10分の1まで減容できる」(同)。

一方、現時点ではまだ売り上げ目標などは立てていない。処分場が未定の点も含め、先行きには不透明感もある。だが神鋼では「処分場が決まっていなければ、(廃棄物の)かさを減らさないと大変なことになる」(同)と強調。「まだ国内に競合するような企業はない」とし、存在感を向上する。

(2016/9/1 05:00)

関連リンク

総合3のニュース一覧

おすすめコンテンツ

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン