[ オピニオン ]
(2016/12/19 05:00)
神戸空港の運営権売却が具体化している。焦点となるのは、すでに運営を民間委託している関西国際、大阪国際(伊丹)の両空港を合わせた3空港一体運営だ。
空港を設置、管理する神戸市は9月に公募の実施方針、10月に募集要項を公表した。それによると事業期間は2018―59年度の42年間。滑走路やターミナル施設、駐車場などに運営権を設定し、運営権者は自らの経営判断で着陸料、旅客取扱施設利用料などを決められる。
これに伴う運営権対価の最低基準価格は176億7000万円(消費税別)。内訳は事業開始前が4億5000万円、事業期間中が毎年度4億1000万円とした。同時に市は、3空港一体運営の運営形態の提案などを重視する優先交渉権者の選定基準も併せて示した。
11月末に締め切った参加資格審査には、5社が必要書類を提出した。市は企業名を公表していないが、関空と伊丹を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)、同社の大株主であるオリックスとフランスの空港運営会社バンシ・エアポート、双日などが応じたものとみられている。市は資格審査を通過した企業名を年内に公表する。
今後は17年6月末までに、受託を目指す企業や企業グループが提案審査書類を市に提出。17年8月頃に優先交渉権者を選定し、18年4月にも新体制で空港運営を始める。
カギを握るのは、近隣の関空、伊丹との3空港一体運営の面で、いかに具体的な提案ができるかである。
神戸空港は市の中心部の三宮まで近く、アクセスも容易。海上空港であるため24時間利用にも対応する。ただ後発空港であることから06年の開港以来、発着枠と運用時間に制限を課されてきた。3空港一体運営が実現すれば、この“重し”が緩和される可能性が出てくる。
関空や伊丹とのすみ分けにより、各空港の強みを生かせば関西全体の航空輸送需要の拡大も期待できる。神戸だけでなく、関西経済全体の底上げにつながる提案が期待される。
(2016/12/19 05:00)