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[ 科学技術・大学 ]
(2017/5/23 05:00)
山梨大学大学院総合研究部発生工学研究センターの若山清香特任助教や若山照彦教授、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究グループは、国際宇宙ステーション(ISS)で9カ月間保存したマウスの精子から健康なマウスが生まれることを確認した。宇宙放射線によってDNAにダメージを受けることが懸念されたが、出生率などに違いはほぼなかったという。成果は23日、米国科学アカデミー紀要電子版に掲載される。
実験では、4種類12匹の雄マウスから集めた精子を凍結乾燥(フリーズドライ)処理し、複数の容器に封入。ISSの日本実験棟「きぼう」内の冷凍庫と、地上の冷凍庫に分けて9カ月間保存し、分析した。
分析結果から、ISSでの精子への宇宙放射線被ばく量は、地上で計測した放射線量の約100倍に相当することが分かった。さらにISSで保存した精子のDNAの損傷度を調べると、地上に比べ損傷の割合が高くなることを突き止めた。
一方、ISSで保存した精子の多くは人工授精で卵子と受精することを確認。さらにISSで保存した精子由来の受精卵をメスマウスに移植したところ、すべての種類のマウスの精子から子どもが誕生し、合計73匹の“宇宙マウス”を作れた。
(2017/5/23 05:00)