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[ 科学技術・大学 ]
(2017/5/31 05:00)
東京大学大学院工学系研究科付属総合研究機構の柴田直哉准教授、関岳人特任研究員、幾原雄一教授らは、最先端の走査型透過電子顕微鏡(STEM)を使って、原子1個の内部電場を直接観察することに成功した。単一原子の内部構造を可視化する究極の顕微鏡法になる。30日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
研究グループは、0・05ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の分解能を持つSTEM法と、独自開発の多分割型検出器を使い、金原子1個の内部に分布する電場を直接観察した。
この電場は、プラスの電荷を持つ原子核と、マイナスの電荷を持つ電子雲との間のわずか0・1ナノメートル以下の領域に分布する。
そのため原子内部の精緻な構造観察や、原子同士をつなぐ結合の直接観察の可能性への道を開き、ナノテクノロジー分野の研究開発の発展が見込める。
この成果により、電子顕微鏡は「原子を見る顕微鏡」から、「原子の内部構造まで見られる」顕微鏡へと進化すると期待される。
日本電子のほか、オーストラリアのモナッシュ大学と共同で研究した。
(2017/5/31 05:00)